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仏との潜水艦隊建造契約破棄で55億ドル違約金

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2016年当時、日独仏3者競争で仏が獲得も

 4月1日付ABC放送(電子版)は、2016年にオーストラリアがフランスと交わした900億ドルの潜水艦隊建造契約を2021年になってスコット・モリソン連邦政府が抜き打ち的に破棄し、新たに豪米英3国の防衛協力体制、AUKUSに基づき、原子力潜水艦隊をイギリス及びアメリカから購入することを決定したことで、オーストラリアはフランスに対して55億ドルの違約金を支払わなければならない可能性を伝えている。連邦政府は13億ドルのアメリカ製武装ドローン購入計画も破棄しており、この予算はREDSPICEサイバー・プログラムに充てられることになっている。

 フランスでの潜水艦の建造はまった始まっていなかったが、国防省でもこの違約金がいくらになるか確実な額が出ていないとしている。

 4月1日の連邦議会上院予算委員会の証人席に座った国防省のトニー・ダルトン副事務次官に対してペニー・ウォン労働党上院議員から、フランスのNaval Groupへの違約金がどれほどの額になるのかとの質問が出され、フランス側が補償を求めており、その額がまだ確定していないが、50億ドルを超えるかも知れないとの回答があった。この予算委員会では同時にアメリカ製武装ドローン購入契約破棄も明らかにされた。

 ウォン議員は、「そうすると、国民は存在しない潜水艦のために55億ドルを払わさせられるのか?」と質問し、ダルトン副事務次官は、「交渉の結果でその額に納まると考えている」と答えた。

 国防省のスティーブン・グローブズCFOも、大規模な契約を失った経済的損失に対して補償を求めており、その交渉が来年まで続く見込みと証言している。

 「この損失を恥ずかしく思わないか?」と質問されたサイモン・バーミンガム連邦予算相はモリソン連邦政権のこの一方的契約破棄を擁護し、「もっと早い時期に原潜購入条件を詳しく知っていれば良かったと思う。当時、原潜技術はオーストラリアには手に入らなかったし、原潜に関する情報がなかった。途中でディーゼル・エンジン搭載の通常潜水艦から原潜に乗り換えれば経済的にも重大な結果になることは承知していたが、敢えてその難しい決断を下した」と語っている。

 労働党のブレンダン・オコナー影の国防相は、「フランスへの違約金支払いのためにどのプログラムがカットされるのか明らかにしてもらいたい。残念ながらモリソン政権の発表はまったく不透明だ」と政府を批判している。


■ソース
Cancelled French submarine program could cost taxpayers more than $5 billion

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