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オーストラリア住宅価格、回復の勢い加速 3カ月連続で前月を上回る

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反発の背景に極端な供給不足

 急激な利上げを背景に昨年以降、大幅に下落していたオーストラリアの住宅価格が、ここにきて回復の勢いを強めている。不動産情報会社コアロジックが1日発表した住宅価格指数(5月31日時点)は、4月末と比べて全国平均で1.2%上昇(3月は0.5%上昇)し、3カ月連続で前の月を上回った。

グラフ作成:©守屋太郎

 都市別では、合計で総人口(約2,600万人)の過半を占める3大都市圏で、いずれも伸びが加速した。上昇率は、東部シドニーで前月比1.8%(4月は1.3%)と2月以降4カ月連続で伸びた。南部メルボルンも0.9%(同0.1%上昇)、北東部ブリスベンも1.4%(同0.3%上昇)、それぞれ前月から加速した。

 コアロジックによると、低迷していた住宅市場が底打ちしたことは間違いないという。8州都の住宅価格の下落幅は10カ月間で9.7%に達し、これまでで最も激しい下落のペースを記録。その後、州都の住宅価格は2月に底を打って以来2.8%上昇したものの、2022年4月のピークと比べると依然として7.1%低い水準にある。





「買い手は取り残されることを恐れている」

 ただ、今後の見通しは不透明だという。同社は「追加利上げの可能性もあり、住宅ローン返済額の増加による家計への打撃や、引き続き低水準にある消費マインドを踏まえると、住宅市場の先行きは依然として非常に不安定だ」と指摘している。

 同社のティム・ローレス調査部長によると、住宅価格反転の背景には、需要の伸びに対して住宅の供給がきわめて不足していることがあるという。

「州都で5月に売り出された物件広告の数は、4月末と比べて約1,800件少なかったのです。住宅の在庫は前年同月比で15.3%、過去5年の同月の平均と比べて24.4%、それぞれ低い水準にあります。売りに出されている物件の在庫が非常に少ないため、買い手の競争心が刺激され、市場では『FOMO』(fear of missing out=取り残されることへの恐怖感)が広がっています」(ローレス調査部長)

■ソース

Hedonic Home Value Index, 1 June 2023(CoreLogic)





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