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生活コスト高騰対策の追加支援を示唆 オーストラリアのアルバニージー首相

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黒字額は大幅に上振れ インフレ圧力には配慮

追加支援策を示唆しつつインフレへの配慮も滲ませたアンソニー・アルバニージー首相

 オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は5日、インフレと利上げによる生活コストの高騰を和らげるため、上振れした税収を原資とした追加支援策の検討を示唆した。公共放送ABCテレビのインタビューに答えた。

 アルバニージー首相は物価の現状について「インフレは目標(2〜3%)を上回っているが、正しい方向に向かっている。夏ごろにピークアウトした後、鈍化してきている」と指摘。「(政府の)財政政策と(中銀の)金融政策が機能している」との認識を示した。

 その上で首相は「多くのオーストラリア国民が厳しい生活を強いられていることは承知している」と述べ、チャイルドケア負担の削減や有給育児休暇期間の延長、医療費の削減、低所得者層へのエネルギー料金補助金など、これまでに実現した支援策の成果を強調した。

 また、「思いがけずに入った予算を生活費の高騰に苦しむ国民に支出するつもりはないのか?」との質問に対して、首相は「私たちに何ができるかを引き続き精査していく」と述べ、さらなる支援策の可能性を否定しなかった。

「財政・金融政策は連携しなければならない」

 追加支援策の財源はある。連邦財務省によると、税収が当初の想定から大幅に伸びたため、2022/23年度(22年7月1日〜23年6月30日)の単年度財政収支の黒字額は5月末時点で190億豪ドルに膨れ上がった。5月の23/24年度予算案で示した42億豪ドルから大きく上振れしている。

 ただ、中銀がインフレ抑制のために金融引き締めを続ける一方で、政府が財政支出を拡大すればせっかく落ち着いてきたインフレに油を注ぎかねない。中銀の金融政策と政府の財政政策は車の両輪。中銀が利上げしながら政府がバラマキを行うのは、ブレーキとアクセルを同時に踏み込むような危険運転と言える。

 その点については、首相も承知しているようだ。

「政府がお金をばら撒けば、インフレ圧力を押し上げ、中銀の金融政策と相反することになる。(政府の)財政政策と(中銀の)金融政策は互いに協力して連携しなければならない。だから、私たちは黒字額のほとんどを貯蓄に回したんだ。しかし、それと同時に、公営住宅建設に20億豪ドルの追加支出を決めた。インフレ圧力を高めずに、建設業界を活性化させ、雇用創出と景気刺激が見込めるからだ」(アルバニージー首相)

■ソース
TELEVISION INTERVIEW – ABC NEWS BREAKFAST, Transcript(Prime Minister of Australia)





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