5日輸入博覧会、6日習近平氏と豪中首脳会談へ
オーストラリアの公共放送ABC（電子版）は4日、アンソニー・アルバニージー首相が中国・上海に到着したと報じた。オーストラリア首相の訪中は2016年以来初めて。午後6時15分ごろに特別機を降り立ち、駐中オーストラリア大使や駐豪中国大使、上海市副市長らの出迎えを受けた。
ABCによると、アルバニージー首相は到着後、上海市内で開かれた中国共産党序列第2位の李強首相が主催する晩餐会に出席した。アルバニージー氏は晩餐会の後、記者団に「中国と協力できる分野では協力しなければいけないし、反対すべき点については反対しなければならない。私たちは国益に沿って行動する」と述べ、対中政策には是々非々で臨む間考えを改めて表明した。
アルバニージー氏とドン・ファレル連邦貿易・観光相は5日、上海で開幕する第6回中国国際輸入博覧会（CIIE）に出席する。同博覧会に出展しているオーストラリア企業約250社とともに、オーストラリア産のモノやサービスをPRする。首相は昼食会での講演も予定している。
その後北京に移動し、人民大会堂で6日、習近平国家主席と豪中首脳会談を行う。中国が対オーストラリア産品の輸入再開を進める中で、アルバニージー氏がいかにワインやイセエビなど残る制裁の解除を実現させ、安全保障上の懸念や人権問題でどこまで突っ込んだ議論ができるのかが焦点となりそうだ。
7年ぶりの首相訪中は、これまで約3年続いた緊張の緩和を象徴する動きと言える。スコット・モリソン首相（当時）は2020年、新型コロナウィルスの起源に関する独立した調査を要求。中国側はこれに強く反発し、オーストラリア産の一次産品8品目の輸入を事実上禁止したり制限したりするなど、経済制裁を実施していた。
22年5月の連邦選挙で労働党政権が発足して以来、オーストラリアの閣僚2人が相次いで訪問するなど関係改善のムードが熟成。中国政府は今年に入り、停止していたオーストラリア産の石炭や大麦の輸入を再開した。10月には、中国がスパイ容疑で拘束していたオーストラリア国籍のジャーナリスト、チェン・レイ氏が解放され、中国が最大218.4％の高関税をかけて締め出していたオーストラリア産ワインについても紛争解決に向けた合意に至り、中国側の招待によるアルバニージー氏の訪中が実現する運びとなった。
■ソース
Anthony Albanese arrives in China for first official visit by an Australian PM since 2016（ABC News）
Remarks Shanghai（Prime Minister of Australia）
Visit to Shanghai, China（Minister for Trade and Tourism, Senator the Hon Don Farrell）
