RBA、4カ月ぶり利下げ

経済ハイライト

小平直樹・時事通信社シドニー特派員
オーストラリア経済の動き

RBA、4カ月ぶり利下げ

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は10月2日の理事会で、4カ月ぶりに政策金利の引き下げを決定した。昨年の国内総生産(GDP)でスペインを抜いて世界12位に浮上するなど比較的順調な豪経済の先行きに、下振れリスクが強まってきたためだ。世界経済の減速や商品価格の下落、豪ドル高がその要因だ。

この利下げにより、政策金利は3.25%となった。エコノミストらの間には、さらなる追加利下げを予想する向きが多いが、あと0.25%引き下げられれば、リーマン・ショック後の金融危機対策として2009年4月から半年間続いた、1990年1月以降の現行制度下で最低の3.00%に並ぶことになる。

豪経済は今年、来年と、3%程度の順調な成長が見込まれている。資源の「価格」ブームはピークを過ぎたが、「開発投資」ブームが成長をけん引している。ただ、RBAによれば、この投資ブームは先の想定よりも「ピークが早まり、水準が低くなる可能性」があるという。向こう1年の国内経済成長もいくぶん下振れする公算が増している。

豪州産資源の最大の輸出先である中国。その中国の7〜9月期実質GDP(国内総生産)は前年同期比7.4%増と、7期連続で減速、通年では13年ぶりに8%を割り込む可能性が強まってきた。鉱工業生産が大きく上向くなど下げ止まりの兆しもあるものの、インフレなどの不安要因は拭えていない。

中国の減速を背景とした資源価格の下落などで、資源業界は新規投資をめぐって、コストなどを一段と慎重に吟味するようになっている。RBAは、資源開発投資による経済押し上げ効果が従来の想定よりも小さくなると見られる分を、利下げによる住宅投資や消費などへの刺激効果で補おうとしている。

◇政府は財政収支黒字化方針維持

豪政府は、12年度(12年7月〜13年6月)中間経済・財政見通しを公表した。12年度の財政収支(基礎的現金収支ベース)は11億ドルの黒字になるとし、今年5月の予算案公表時点の15億ドルの黒字から下方修正した。資源価格の低下により、税収が当初見込みを下回る状況になっているためだ。

今年7月から導入され、鉄鉱石や石炭の事業の利益に課税する鉱物資源利用税(MRRT)の今年度の税収見込みは54億ドルと、予算案時点の71億6,000万ドルから引き下げられた。スワン副首相兼財務相は税収見込みの減少に対し、歳出抑制などで引き続き、今年度の財政収支黒字化を目指す考えだ。

同財務相は、財政収支黒字化は「RBAに利下げへの最大限の柔軟性を与える」と強調。財政健全化を優先し、景気対策はひとまずRBAに丸投げする姿勢を示している。来年の選挙をにらみ、労働党政権の成果としても黒字化を達成したい考えとみられるが、エコノミストらには、小幅な黒字にこだわる政府の姿勢に批判もある。

◇第50回日豪経済合同委開催


政策金利を3.25%に引き下げたオーストラリア準備銀行

日豪の経済界代表が集まり関係強化を話し合う、日豪経済合同委員会会議の節目となる第50回会合が10月8日から2日間、シドニーで開かれ、政治的リーダーシップ発揮による日豪経済連携協定(EPA)交渉の早期妥結を改めて求めるとともに、医療分野などで今後の日豪「協働」の可能性に着目する共同声明を発表した。

会議にはギラード首相も出席。夕食会で講演し、交渉中の日豪経済連携協定(EPA)について、「今や合意の時だ」と述べ、「双方の協調的な政治的意志」による決着を呼び掛けた。また、EPAで合意すれば、米国や豪州などが進める環太平洋連携協定(TPP)交渉に日本が参加する上での「足場」にもなるだろうと指摘した。

日豪EPA交渉は、07年4月からこれまで計16回行われ、「大枠についてはもうほとんど合意ができている」(政府筋)。焦点の農業分野では、関税撤廃を求める豪州側とこれを拒否する日本側との間に依然、溝が残されているが、この先は政治的判断が必要というところまできている模様だ。

豪日経済委のロッド・エディントン会長は閉幕後の共同記者会見で、EPAが結ばれれば食料安全保障面からも「より安心できる状況になる」と強調。日豪経済委の三村明夫会長(新日鉄住金取締役相談役)は、日本に農業は「絶対に必要」とした上で、持続可能な産業として農業の近代化を促すためにもEPAは不可欠だと訴えた。

会議では、豪政府の「アジアの世紀」白書の編さん責任者のヘンリー前財務事務次官も講演。日豪関係は「さらに深化し拡大していく大きな余地がある」とし、有望分野として、天然ガスや再生可能エネルギー、教育などを挙げた。また、向こう40年間で70%の人口増が見込まれる豪州は、都市計画で日本に学ぶことがあると語った。

◇シドニーでモーター・ショー

 オーストラリア国際モーター・ショーが10月19日から10日間、シドニーで開催された。今年の豪新車販売は110万台近くと、3年連続で100万台を上回り、07年の過去最高を更新するとみられている。統計局によると、9月の新車販売は9万8,701台と過去最高。スポーツ用多目的車(SUV)が前年比で3割も増加した。

自動車販売が好調な背景としては、豪ドル高で輸入車が比較的安く購入できることや、ローン金利の低下などが挙げられている。資源開発ブームに沸くWA州などでSUVが売れている。イタリアの調査会社フォーカス2ムーブによれば、昨年の豪州の自動車市場は、カナダやイランに次ぐ世界14位だった。

モーター・ショーでは、豪州市場でシェア・トップを走るトヨタ自動車が、11代目「カローラ」ハッチバック・モデルを展示。カローラは1966年の豪市場投入以降、累計120万台が売れた。トヨタの高級ブランド「レクサス」では、ハイブリッド・タイプのスポーツ・クーペ試作車「LF—LC」の新バージョンが披露された。

豪州市場でシェアを拡大するマツダは、本社から山内孝会長兼社長が会場に乗り込み、記者団に今年の豪州での販売目標は「10万台突破」と述べた。マツダは、トヨタ、GMホールデンに次ぐ豪市場3位の座の確保を目指している。カローラのライバルでもある「マツダ3」は昨年豪州で最も売れたモデルで、今年も快走中だ。

ショーに出席した三菱自動車の益子修社長は記者団に対し、EPAとTPPの問題について、日本の製造業として「参加しないという選択肢はあり得ない」と強調。自由貿易協定(FTA)締結に積極的な韓国との競争で、円高に加え、関税上も不利な条件を背負うとし、「外貨をどう稼ぐか」という視点で考えるよう訴えた。

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