8年目のアフガン戦争と 日豪 南西アジア・インド洋は火種の源

国際ニュース反射鏡
8年目のアフガン戦争と日豪
南西アジア・インド洋は火種の源

 米国のオバマ新政権で、はっきりしている外交政策は、アフガニスタンへの米軍増派と対テロ戦略。協調路線を取り、EU諸国や豪州への増派要請や、日本のアフガン支援に注文がつくだろう。南西アジアの地政学的な複雑さは、日豪へも響いてくる。2009年の戦争とテロの動向は−−。


国際ニュース反射鏡
 2つの戦争の中にある米国のメディアを読んでいると、イラク戦線よりも、アフガニスタン戦況の方が増えている。日・豪と違って、米国の新聞・TVは従軍記者を送っているから、米軍の実情は、生々しく伝わってくる。
 見出しでいえば、「タリバン(イスラム原理主義の武装勢力)の拠点に発電ダム建設」「カルザイ政権への疑問」「アフガン政府筋、米軍攻撃でタリバンと協調か」「アフガニスタン民間人の負傷者を米軍衛生兵が治療」「米軍は射的場の的のようなものだ」「パキスタン陸軍はアフガン国境で苦戦」など。
 イラクが安定に向かい、イラクと駐貿協定を結び、兵力削減の方向にあるのに比べて、米軍やEU国際部隊の苦戦が目立ち、戦死傷者がアフガンでは増えている。
ムンバイ犯人は パキスタンから
 昨年11月、インド西海岸の商都、ムンバイで多数の死傷者が出るテロ事件が起きた。インド国内のイスラム過激派との連携作戦だろうが、パキスタンのカラチ港から、ムンバイに海路潜入したテロリストも確認され、インド政府とパキスタン政府は、責任のなすり合いをみせた。
 地図を見ると、よく分るだろう。パキスタンのカラチ港は、アフガン戦線を支える米軍、国際部隊への補強兵員や物資を運び込むポイントになっている。内陸国アフガンへは、パキスタン経由でないと補給できない。そのトラックは、パキスタン北部へ北上して、カイバル峠を越えなければならない。カイバル峠がある国境地帯は、トライバル・エリア(部族地域)といわれ、タリバンやアルカイダなど国際テロ組織は、行き来自由のグレーゾーンだ。
 米軍や国際軍は、イスラム国とテロ集団の海に浮かんだような、危うい立場にある。
 オバマ大統領は、イラクからアフガンへの重点移動と、アフガンへ2万人増派を明言している。ゲリラ戦で戦力を取り戻したタリバン勢力を近代戦で撃破できるのか。かつてソ連軍も制圧できず撤退した例をみても、民族意識プラス宗教勢力のタリバンを制圧できるか。民間人を巻き込んだ国際戦争で、米軍や外国軍は民衆の反感を買っている。
信用ないアフガン政府では
 カルザイ政権は、多額の国際支援−−米国と日本が最大の支援額を出しているが、生かしきっていない。汚職は絶えず、部族連合のカルザイ政権は、内外で信用が薄れている。カルザイ氏は、パシュトーン族出身だが、南部に多いパシュトーンはタリバンの主力でもあり、外国軍は、信用に欠けるアフガン政権と手を組むという、不利な立場だ。
 泥沼の7年が過ぎ、米国の同盟国オーストラリア、日本にも、オバマ戦略とは無関係ではいられない。それぞれ出兵や洋上給油支援をしているが、どう対応するか。平和路線の日本は、軍事支援よりは、ODA/JICA/NGOといったソフトな人的、財政的支援をさらに増やす構えだが、治安が悪くては、人材を送れない。NGOの日本青年が殺害され、カブールのJICA職員は、要塞のようなオフィスからの外出もままならない。カブール国際空港のターミナル・ビルは08年半ば、日本のODAで完成したが、完成祝いもままならなかった。
 自衛隊はイラク沖のアラビア海で、給油してアフガン戦争も間接支援しているが、インド洋へ重点を移すだろうが、陸上軍の派遣は難しい。オーストラリアはイラクから撤兵の方向にあるが、アフガニスタンのタリバン対策は最重要課題としているので、同盟国としてオバマ戦略に応じるだろう。09年1月初め、タリバンのロケット攻撃がオーストラリア基地にあり、1人が戦死。8人目の戦死兵士だった。
印パ関係の悪化が心配
 アフガニスタンの東側、パキスタンはイスラム国だが、米国の支援を受け、アフガン戦争に協力してきた。金融危機で財政は破たん、政情は不安定で、タリバンとタリバン支持者は少なくない。インド・ムンバイ事件の犯人たちは、パキスタンから潜入。印パ関係はさらに悪化すると、南西アジア地域は、ますます不安定さを増す。アジア・インド洋事情は日豪も無関心ではすまない新年だ。

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