ワーホリ30年で18万人 日豪合同セミナーで聞く WH天国の実像

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ワーホリ30年で18万人
日豪合同セミナーで聞く WH天国の実像
文=青木公
 恒例の日豪合同セミナーは30回目。「草の根交流」というテーマにひかれて、久しぶりに会場へ。中国、インドの台頭で、豪日関係が薄まるのではないか、という日本側の危惧の中で、「人の交流で社会的な距離は縮まった」と豪公使。ワーホリは、その一例かと…。


 東京・八王子市の大学セミナーハウスで09年6月6・7日にあった日豪合同セミナーは、日本社会の少子・高齢化を反映してか、約100人の参加者は、若者、大学生が減り、筆者も含め高齢の男性が多くなっていた。セミナー30年の年輪だろう。
日豪の社会的な距離は草の根で縮まった
 基調講演は大使館の政務担当公使リチャード・アンドリュースさん。30年前に日本語を学び始めた。高校2年生で神戸に1年、ホームステイ留学。外交官となって2度目の日本勤務。妻はタイ人。日本語で自らの体験的な豪日関係を語った。

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リチャード・アンドリュース豪大使政務担当公使による基調講演

「豪日の社会的な距離は縮まった」「超2カ国関係になった」「アメリカに次ぐ、同盟国に近い戦略パートナー」と、経済関係だけでなく、成熟してきた時代変化をユニークな表現で指摘した。
 中国、インド、ベトナムなどの台頭。中国語学習者が日本語を上回っても、豪日の個人レベル、草の根での人間関係が保たれる限り、将来もジャパン・パッシング(日本軽視)はない、と強調。「どうすればよいか、皆さんに聞きたい」と話を結んだ。
 型にはまった外交官スピーチでなく、30回目のセミナーにふさわしかった。
英語習得なら留学を 若さの特権ワーホリ
 8つある分科会のうち、ワーキング・ホリデーを考える分科会を傍聴した。ワーホリは1980年12月に始まり、30年経つ。「仕事より遊びが中心」「現地に溶け込んでいない」という声もある中で、男女2人ずつワーホリOB・OGが、6人の大学生に持論を披露した。司会はシドニー支局長だった日経新聞の大石信行さん。社団法人・日本ワーキング・ホリデー協会の島野太郎さん(ワーホリOB)も出席した。
 男性①の場合=02年、社会人(29歳の時)。アメリカは危険、カナダは寒いので。仕事を離れ、自由になりたくて。英語は単語を並べる程度で。1年いたのに、しゃべれないのか、と帰国後言われた。英語を身に着けるなら、ワーホリでなく、留学を。しかし、外国慣れはした。レストランで皿洗い。外国で働ける貴重な機会は、ワーホリしかない。
 男性②=01年NZ、05年シドニーで。NZでは遊びまくり、マイナスの1年。社会人の後、オーストラリアでは日本語新聞で広告営業。日系企業人との出会いで人脈ができ、帰国後は、海外長期滞在(ロングステイ)関連で起業。人生は、人との出会いにあるのを学べた。日本人ワーホリは、社会人でカネを貯めていく。ほかのアジア系は親のカネで来るのではないか…。
 女性①=97年、社会人3年後。100万円準備した。渡航は代理店任せ。航空券、1週間の滞在先、語学学校を手配してもらった。20万円の出費はあっても、安心代としては高くない。あとは自力でホームステイとルームシェア。免税店、携帯電話会社、日本食レストランで働く。帰国後、豪系会社務め。03、05年NSW州の大学へ留学。いま豪系メーカー勤務。

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第30回日豪合同セミナーのワーキング・ホリデー分科会で(写真=いずれもセミナー事務局)

 女性②=84年、26歳の社会人で。日本の企業社会から脱け出したくて。高校時代に交換留学生でNSW州在住経験あり。外国企業で働きたかった。日本人ワーホリが多い、みやげもの店で。最近の若い人は海外に行きたがらない、と聞く。ワーホリ1年は、無謀タイムでよい。若さの特権だ。
「ワーホリだけで群れるな」「手続きは自分でやれ」「在住邦人とも付き合え」――と多様な人生訓が飛び出した。オーストラリア側からは「日本政府の手続きは繁雑で書類が多い」とのコメント。

30年で豪からは3万人
 フリートーキングだったが、6人の男女大学生は、聞き手で、積極的な質問は乏しかった。「ワーホリという制度があるのを知らなかった」「おカネとヒマがあれば」「いろんな生き方があるのが分った」と控え目。
 日本ワーキング・ホリデー協会(東京・中野区、Tel: 03-3389-0181)は、無料で説明会を開いている。渡航前とキャリアアップの2コースがある。
 ところで、統計データによると、この30年で18万人弱の日本人ヤング(18歳以上31歳未満)が、オーストラリアでワーホリしている(NZは累計で5万5,000人)。最近は毎年1万人のペースだ。しかし別表のように、国別では、英、韓、アイルランド、ドイツに次いで5番目だ。オーストラリア人の日本ワーホリは年間1,000人以下。累計でも3万人と多くはない。単純比較すると、18万対3万人とアンバランスに見えるが、日豪の人口比(日本の6分の1)を考えると、オーストラリアの若者の対日関心は高いといえる。アンドリュース公使が言うように、両国の社会的な距離は、30年前に比べれば縮まったといえよう。


筆者紹介・青木公(あおき・ひろし)朝日新聞社友。日豪プレス創刊時に朝日新聞シドニー支局長。定年後、東南アジア、中南米、アフリカ大陸などの途上国を毎年、訪問・取材。現在、国際協力機構(JICA)サポーター。著書に『ODA最前線』『中高年、はつらつと海を渡る』『ブラジル大豆攻防史』ほか。海外日系紙に寄稿


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