2018年10月 メルボルン/ローカル・コミュニティー・ニュース

坂本龍一氏来豪

メルボルン国際アート・フェスティバルが開幕

2002年以来、共に6枚のアルバムをリリースしている坂本龍一氏とドイツ人音楽家アルバ・ノト氏
2002年以来、共に6枚のアルバムをリリースしている坂本龍一氏とドイツ人音楽家アルバ・ノト氏

メルボルンの春を彩るイベント「メルボルン国際アート・フェスティバル」が10月3日から18日間にわらり開催される。市内各地にある会場や屋外の特設スペースを舞台に、国内外から多くのアーティストによるオペラ、ビジュアル・アート、ダンス、音楽などアートの枠を超えた数々のイベントが行われる。

今年の日本人参加アーティストは、10月19日にライブを行う坂本龍一氏、世界中のさまざまなレーベルから、楽曲をリリースしている音楽家のASUNA氏の2人。坂本氏は共にアルバムをリリースしていているアルバ・ノト氏とのデュオでライブを行う。

■Melbourne International Art Festival
日程:10月3日(水)~21日(日)
会場:メルボルン各地
Web:www.festival.melbourne/2018


「もったいないプロジェクト」に取り組む、コーフィールド小学校の皆さん
「もったいないプロジェクト」に取り組む、コーフィールド小学校の皆さん

コーフィールド小学校
「もったいない」プロジェクトを始動

豪テレビ局ABCで放映されたドキュメンタリー『War on Waste(ごみとの闘い)』が国内で広がりつつある中、メルボルンにある日英バイリンガル小学校のコーフィールド小学校が9月11日、地域のためのリサイクリング・ハブを設置する計画を発表した。

同校が計画したプロジェクト「もったいない」はVIC州の「ピック・アップ・マイ・プロジェクト」の中にある市民プロジェクトの1つで、地域住民の票を多く得たものは州政府から補助金を受けられる。計画の中心となるリサイクリング・ハブは通常のごみ回収でリサイクルされない、電池、電球、ソフト・プラスチックなどを回収しリサイクルする場を地域の住民と共に作り上げる。同校では既に「ヌード・フード(包装されていない食べ物)」や、ゴミの出ないランチの推進、雨水を貯め、太陽光パネルを活用するなど、さまざまな環境活動を行っている。

同校のカーラ・ロウ氏は「全校が資源利用の重要性を認識し、リサイクルとコンポストの場を地域住民に提供することで、より開かれたコミュニティー・スペースを生み出す」と話す。リサイクリング・ハブは地域社会に貢献するもので、プロジェクトを成功させるために、地域住民からの投票が必要と呼び掛けている。


左から草賀純男大使、本田圭佑選手、ブルース・アトキンソン議員(Photo:Tallzeebaa提供)
左から草賀純男大使、本田圭佑選手、ブルース・アトキンソン議員(Photo:Tallzeebaa提供)

春の晩餐会を開催、スペシャル・ゲストに本田選手

ビクトリア州豪日協会、メルボルン日本商工会議所、メルボルン日本人会の3団体が9月14日、市内のクラウン・メルボルンで毎年恒例の「春の晩餐会(Spring Gala Dinner)」を開催し、220人が参加した。

主賓としてキャンベラから草賀純男駐オーストラリア特命全権大使、松永一義在メルボルン日本国総領事、ブルース・アトキンソン議員を迎え、日豪政財界から多くのゲストが招待された。更に、今年はサプライズ・ゲストとして、8月にメルボルン・ビクトリーに入団した本田圭佑選手が登場し、会場は盛り上がりを見せた。

また、3Dプリンターで作る義肢を無償でプレゼントをする活動を続けるエンジニアのマット・ボーテル氏が、現在の活動を始めたきっかけ、2018年度のオーストラリア・VIC州ローカル・ヒーロー受賞にまつわる経験談などについて講演を行い、参加者は興味深く感動的なスピーチに熱心に耳を傾けた。

同会の最後に行わた抽選では、日本航空提供のメルボルン・成田直行便のペア・チケット、ミズノのゴルフ・バッグ、本田選手のサイン入りサッカー・ボールなど、豪華賞品が12人に贈られた。


日本航空・植木義晴会長インタビュー

お客様、社員、人こそが宝

日本航空(JAL)がメルボルン成田間の直行便を就航してから1年。就航から今年7月までの平均利用率は85%、月によっては90%と高い利用率で好調な滑り出しをみせている。メルボルン市内で開かれた就航1周年記念パーティーのために来豪した日本航空・植木義晴会長に破綻から立ち上がったJALの強さ、大切にするビジョンなどを伺った。(インタビュー=大木和香)

オーストラリアから日本へ、旅客数は過去最高に

――利用客の割合を教えてください。

日本とオーストラリア間の総旅客数は2004年の90万人、11年は50万人まで落ち込み、昨年は93万人まで戻りました。04年と決定的に違うのが旅行者の割合です。04年は日本発70万人、オーストラリア発が20万人に対し、17年は日本発43万人、オーストラリアからは50万人と、オーストラリアからの乗客が6割を超え、この13年間で2.5倍に増えました。

――2010年の経営破綻から驚異的なV字回復を果たし、新規路線拡大など、更なる成長を目指す御社の強みは何でしょうか。

飾らずに言わせてもらえれば、「どん底まで落ちたこと」が一番の強みでしょうか。経営破綻前の20年間は赤字と黒字を繰り返し、この間の利益はほぼゼロでした。それが、破綻を機にコンスタントに1,700億円強の年間利益を出しています。平均で13~14%の営業利益率を出している航空会社は世界中どこにもありません。多くの方に迷惑を掛け、ご協力頂いて再建できた会社ですが、1つだけ自慢を言わせて頂ければ、社員は1人も変わっていないということです。社員が入れ替わったわけではなく、全社員の「魂が変わった」のです。全員がお客様のために尽くしてくれているからこそ、8年間すばらしい業績を出し続けられる会社になったと思います。社員には感謝しかありません。

経営とは社員、お客様を大切にすることから始まる

――御社にとって人材とは。

弊社にとって人材は「人財」と書き「人財本部」という部署もあります。「人こそが宝」で他は何を失っても構わないのです。数字が悪い時だってあるでしょう。しかし、そんなものは皆が1つになればいつだって取り戻せます。以前は、経営陣と社員の間に大きな溝があり、経営に対する信頼感は全くなかった。今はようやく、社員が経営陣を信じてくれるようになりました。経営陣は「社員を愛する」ということを経営理念の一番に挙げています。私たちは社員を大切にするから、君たちはこの会社を愛し、お客様を愛してもらいたい。全員がそういう気持ちで仕事をしています。

――破綻後、社外から就任した稲盛和夫前会長に対して、反発などはなかったのでしょうか。

なかったと言えばうそになります。航空会社のことをどこまで知っているのか、本当にこの会社の再建ができるのだろうか? と懐疑的に見ていました。しかし、思った以上にすごい人でした。理屈ではなく実践の中で鍛えた理論、苦しみ抜いた50年の経営経験の中から培った言葉は胸に刺さりました。2カ月後には、この人と共に日本航空を再建していこうと決めました。稲盛会長のアメーバ経営には「部門別採算制度」と「フィロソフィー」の2つの軸がありますが、この「フィロソフィー」は、まるで砂漠に水がしみ込むように、あっという間に社内に広がりました。

――利潤を追求しつつ、顧客満足度が高い会社というのは、とても難しいと思うのですが。

私たちもそう思っていました。私たちは公共交通機関でそんなに利益を出してはいけないと考えています。「一番大切なのは安全で、安全にはコストが掛るものだ」と稲盛会長にくってかかったことがあります。稲盛会長は「航空会社にとって一番大切なのは安全だが、安全へ投資するお金は誰が出すのか。安全へ投資するためには利益も出さなくては」と言いました。そして、「君は安全への投資が膨れれば利益が薄くなるとシーソーのように考えているが、シーソーの支柱自体を上げてあげてみては」と続けました。お金を掛けないと安全は改善しないと思っていたが、そうではなかった。皆が気持ちを1つに合わせ、自分の仕事に生きがいを感じている。これが安全のベースになり、そこにしっかりとした投資をすることによって、パーフェクトな安全が出来上がる。その根本を忘れていたのだと思います。今は両方の数字を追い求め、それができています。

――これからのメルボルン線について展望を聞かせてください。

メルボルンから日本へ行くお客様は確実に増えていますが、日本でメルボルンを知っている人は少ないですね。今後は旅行代理店などと協力し、どれだけこの街がすてきなのかを知ってもらうと共に、日本からの旅客を増やしていく計画です。「猛暑の日本から、クールなメルボルンへ」、避暑地に訪れるように旅をしてもらえればと思います。


●PROFILE
植木義晴(うえき・よしはる)
1952年京都府生まれ。1975年に日本航空へ入社。運航本部副本部長、2008年にはジェイエア副社長に就任。10年に日本航空が破綻後、当時の会長の稲盛和夫氏の下、執行役員運航本部長に就任、12年に日本航空では初となる機長出身で取締役社長に就任した。18年4月から会長職に就任

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