友愛のカネ、灰色まみれ 政権交代への失望度は…

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友愛のカネ、灰色まみれ

政権交代への失望度は…

文=青木公

50余年ぶりの「政権交代」で「平成維新」かと思ったら、わずか4カ月で民主党リーダーも、カネまみれ。政治資金を巡る金権スキャンダルで、有権者の期待は凍り付いてしまった。政治家のDNAは、政権が代わっても変わらない。

09・8・30衆院選挙で歴史的な圧勝をした民主党による政治主導の政策は、戦後50年以上続いた保守・自民党政権に代わって、平成改革と言われるほどだった。改革といえば、中大兄皇子による大化の改新、明治維新と、敗戦によるマッカーサー軍政と比べてもおかしくないほど、平成改革は期待されていた。

09年末に行われた前政権の予算案の手直し、事業仕分けは、政府与党と役人による馴れ合い風の予算作りを様変わりさせた。永田町と霞が関の密室の中で行われていたのを、国民・市民に公開する形で進められた。東京・市ヶ谷の政府施設の講堂を布幕で仕切って、有権者やTVカメラの目の前で、政府案の予算を仕分け人が、提案者や利害関係者に質問、予算をつけるに値するかどうかを判断、即決した。

有権者に見える政治ショーではあったが、予算作りの過程が透明になった点で、民主党の政治主導ぶりは、好印象を与えた。行き過ぎや歪みは、最終的には政府によって手直しされた。

手直しの中で、閣僚の発言が、相反したりまちまちで、有権者を戸惑わせたが、密室や派閥、省益の政治よりは、未熟だが正直で悪くはない、という改革政権のイメージは保たれていた。

母親のカネ

しかし3カ月余りで、改革イメージは崩れた。民主党の看板、鳩山“友愛”首相には、政治資金報告書で、金持ちファミリーらしい疑問が生まれた。超高級シニア施設で暮らす母親から、首相と、自民党幹部の兄弟2人に、小遣いのような形で、毎月千数万円単位の金が渡されているのが明るみに出た。「母親が出してくれているとは知らなかった」という釈明は、世間の常識を外れていた。それでも、金持ち一族ならではの話…と有権者は、かなり寛容な見方もした。

だが年明けの小沢・政治資金問題は、人々の失望の火を噴いた。4億円の収支不明金では検察庁が乗り出した。実際に、小沢幹事長の事務所を家宅捜索、秘書グループ3人を逮捕して、小沢氏本人に出頭を求めて、容疑者として事情聴取した。

検察の実行部隊は、東京地検特捜部で、伝統的な世直し・正義の味方といわれる。田中角栄、金丸信といった保守系ボスを失脚させた。全日空が導入しようとしたエアバスを巡ってロッキード社絡みで収賄事件の田中氏、不正金脈の金丸氏を摘発した。

小沢疑惑の背景には、公共事業を巡る口利き献金がある。政治資金収支報告で帳簿上のミス、と小沢氏は秘書グループに責任を負わせる弁明を繰り返した、東京地検特捜部は、仙台市にある鹿島建設の家宅捜査と書類押収で反撃に出た。同建設の東北支店は、ダムなど公共事業の談合入札で、摘発されたことがある。

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民主党の政権公約(マニフェスト)をまとめた政権政策集。首相直属の「国家戦略局」による予算骨格の策定など5つの施策を掲げた

ゼネコンのカネ

岩手県奥州市の胆沢(いさわ)ダム。岩手県は、小沢氏の選挙区。大手ゼネコンの鹿島建設は、全国の中型の建設会社を下請けとしてまとめてきた。東北地域ではない三重県桑名市の水谷建設も、東京地検のターゲットになったことで、談合システムの広がりが明らかになった。

ダム、道路、農業用水路、橋といった公共事業は、基幹産業や工場が少ない東北地方のような所では、建設業が重要な産業で、その傘下には、町や村の土建業者があり、選挙の票につながる。票田と政治献金と公共事業は、日本の政治システムの毛細血管で、その象徴はかつて田中角栄(新潟)、今は小沢一郎(岩手)と言えようか。自民政権末期の安倍、福田、麻生といった首相と性格が違う。

逮捕された小沢陣営の秘書グループの1人、36歳の国会議員は、世田谷の小沢氏宅で書生(しょせい)暮らしで一心同体。目白の田中邸も書生であふれていた。書生というのは、ボス宅でメシを食わせてもらい、家事や政務を手伝う青年たち。議員秘書から政界入りする人生航路の末だった。

ゆらぐ有権者

民主党は、50余年の自民党系に代わる改革派だが、その身中には、多様な政治経歴がある議員を抱えている。例えば、ダムでいえば、小沢氏の対極にあるのが前畑国土交通相。八ツ場(やんば)ダムの工事中止のように反ダム派だ。

自民党幹事長だった小沢氏が、今は民主党の幹事長。肩書きは変わってもDNAは変えようがない。戸惑う有権者は、政治の読み方が甘いのだろうか、と自問自答している。小沢・鳩山の二頭政治は、正義派と見える東京地検を押し切れるのか。

やっと世直しの時か、と期待した有権者は、弱くなりすぎた自民党にも失望しながらの2010年明けだ。

オーストラリアのように英国モデルのウエストミンスター方式の2大政党システムに、日本はまだ至ってないのを改めて思い知った。

 

※青木公氏のコラム「国際ニュース反射鏡」は、日本国内と世界のニュースを幅広く扱うニュース解説コラム「ニュース東西南北」に変わりました。(編集部)

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