輝け! ゴールドコーストの若きアスリート タイ(泰)・レオナード・サッチくん

輝け!
ゴールドコーストの若きアスリートたち

ゴールドコーストの若きアスリート

第4回

タイ(泰)・レオナード・
サッチくん(17歳)

テニス

テニスは自分の中に脈々と流れる血、
自分自身そのもの

美しい海と山に囲まれたゴールドコーストは、晴天と温暖な気候に恵まれスポーツに最適な場所であると同時にとても盛んだ。この豊かな環境の中で、将来の大きな夢を抱いて果敢にスポーツに取り組んでいるゴールドコースト育ちの若きアスリートたちにスポットを当てて、彼らの今の姿を紹介していく。第4回目は、タイ・レオナード・サッチくん(17歳)。国際テニス連盟(以下、ITF)主催のU16男子ジュニア世界大会の最高峰「ジュニア·デビスカップ」のオーストラリア代表に選ばれ、国内ジュニア·トーナメントのプラチナ·シリーズであるナショナル·チャンピオンシップ「Showdown」U16で優勝を果たした期待の若きアスリートである。17歳になった今、自分の目指す夢に向かって更なる闘志を燃やしている。(文=堀千佐子)

――テニスを始めたきっかけと今に至る経緯を教えてください。

かつての世界チャンピオン、パット・ラフターの自宅にてトレーニングを受けた記念の1枚
かつての世界チャンピオン、パット・ラフターの自宅にてトレーニングを受けた記念の1枚

2002年9月16日生まれで、11歳までケアンズで育ちました。母が桃子さんという日本人女性コーチにソーシャル·テニスを習っていたことから、自分も5歳のころから桃子さんにテニスを習い始めました。ゴールドコーストへ11歳の時に引っ越しして、バーリー·ウォーターズにあるGCAテニス·センターでテニスを習いながら、同時期にこちらへ引っ越ししてきた桃子さんに時折、プライベート·コーチをしてもらっていました。14歳の時にテニス·オーストラリアからの誘いを受けて、現在に至るまでブリスベンにあるナショナル·アカデミーズ(National Academies)の奨学生として、テニス·オーストラリアのトレーニング·プログラムで練習しています。

――精鋭のテニス選手のみに門戸を開くナショナル·アカデミーズはどんなところですか?

ナショナル·アカデミーズは全国7カ所の主要都市にあって、テニス·オーストラリアが統括運営しています。グランドスラム·チャンピオンを育てるための総合的なプログラムが組まれ、選手それぞれの最大限の能力を引き出すために、現役プロ選手を教える世界レベルのコーチ陣とスポーツ·サイエンスの専門家をそろえています。僕はブリスベンにあるナショナル·アカデミーに所属していますが、国内遠征の際も、全国にあるナショナル·アカデミーズの施設やコートを利用することができるなど、プロを目指す若いプレーヤーにとってはすばらしい環境を与えてくれます。しかし、入学が許可されるためには、トーナメントでの優勝もしくは準優勝というハードルの高い基準をクリアすることが必要で、一旦入学しても、その後のポジションを確保していくために、常に上位のランキングをキープして一定の成績を残すことが求められる厳しさもあります。

ナショナル·アカデミーの1番良い点は、ジョン·ミルマンなどトップ·プロ選手を教えているコーチからコーチングを受けられることに加え、プロ選手に混じって一緒に練習ができることです。試合前には、プロ選手のヒッティング·パートナーを務めることができるため、プロの打ち出す球や高速のサービスを実際に受けるという貴重な経験ができます。先日、現在世界ランキング1位のアシュリー·バーティのヒッティング·パートナーをしました。

――これまでの思い出に残るトーナメントをいくつか教えてください。

3人のオーストラリア代表、2018年「ジュニア·デビスカップ」メンバー
3人のオーストラリア代表、2018年「ジュニア·デビスカップ」メンバー
「Showdown」ナショナル·チャンピオンシップU16優勝トロフィー
「Showdown」ナショナル·チャンピオンシップU16優勝トロフィー

まず14歳の時にアデレードで行われた全国大会U14のグラスコートでの初優勝です。これはグラスコートでのジュニア·トーナメントで、各州から勝ち抜いてきた64人のドローで行われました。難易度が高い天然芝コートでの初優勝は自分にとって記念すべき試合の1つです。

また、2018年9月にハンガリー·ブタペストで行われたITFが主催するU16男子ジュニアの国別対抗世界大会「ジュニア·デビスカップ」に、オーストラリア代表3人の中の1人として選ばれて出場したことです。このデビスカップの前に、テニス·オーストラリアの運びで、ITFジュニア·ツアーでヨーロッパ各国のトーナメントを4人で周っていました。その内の3人は「ジュニア·デビスカップ」オーストラリア代表としてヨーロッパにとどまったのですが、残る1人はツアー終了後にたった1人で帰国となりました。自分の誕生日に代表選手の発表があり、うれしいと同時に勝負の世界は厳しいと実感した出来事にもなりました。

そして、毎年12月にメルボルン·パークに国内のジュニア·ベスト·プレーヤーが集まって行われる全国大会「Showdown」で、18年にU16で優勝したことも自信につながる忘れられない試合です。19年のU18はセミ·ファイナルで僅差で負けて悔しい思いをしたので、今年は優勝を目指して、オーストラリアン·オープンへのワイルド·カードを取りたいです。

――遠征が多いと聞きますが、どのような毎日を過ごしていますか?

1年を通じて国内外でのトーナメント遠征へ出かけるので、あまり家にいないという状況です。16歳の時から国内も海外遠征も1人で出掛けるようになりました。ゲームに勝てば残り、負ければ悔しさを胸に帰途につくという孤独な1人旅です。海外でのITFトーナメントは、日本、韓国、中国、フィジー、ニュージーランドの5カ国へ出掛けています。

ゴールドコーストにいる時は、月曜から金曜までは朝6時50分の電車でブリスベンのナショナル·アカデミーへ向かい、8時半から12時までコートでの練習、午後はアカデミーでDistance Education(遠隔地教育)による勉強、その後ジムで1~2時間、メニューに従った筋肉トレーニングなどのフィットネス、夕方も少し球を打ってから、電車に乗って夜の7時半から8時ごろに家に帰宅するという毎日です。脚が鈍ってきていると感じたら、フットワークを良くするために早朝にビーチ·ランをしてから出掛けています。

――スランプに陥ったことはありますか?

はい、考えていたように試合運びができなかったり、調子の悪い時はもちろんあります。そんな時はラケットを変えてみたりもします。でもけがをした時が1番、気持ちが落ち込んで弱気になりますね。やめたいと思う時もありました。でも、いつも何とかしてきて今がある感じです。とにかく、スランプに陥った時は、気持ちの弱さに負けないように、ひたすら練習に励みます。去年、膝の軽い故障でなかなか成績を残せず調子が出なかった時期がありましたが、賞金の出るAMT(Australian Money Tournament)に出た際、ファイナル戦でナショナル·アカデミーの自分のバディでもあるプロ選手、マーベリック·ベインと対戦、勝利を収めました。プロを破って優勝したことで、賞金を手にできただけでなく、自分の自信も取り戻すことができたように思います。

――テニス以外で好きな物は何ですか?

スケートボード、サーフィン、バスケットボール。それから、日本食。カツカレーは大好物です(笑)。何とか時間を見つけてサーフィンへ行ったりスケボーをしたりしていますが、とにかく遊びに行く時間がないんです。友達がパーティーへ行ったりしているのをうらやましく思う時もありますが、試合に勝った時の喜びでバランスが取れている感じです。

――将来の夢は?

夢はグランドスラム·チャンピオンになることです。テニスは自分にとって、好きとか嫌いとかと言うよりも、自分の中に脈々と流れている血液のような「自分」そのもの。だから、夢を実現するためには、どんな努力もできるし、つらい時期があっても必ず乗り越えていけると自分を信じています。そして、今の自分があるのは、ずっと支えてきてくれた両親、家族みんなの理解と応援があったからです。とても感謝しています。今年はジュニア·トーナメントからプロ·テニス·ツアーのATPへ移行していく時期にも当たるので、これから先はATPフューチャーズ、チャレンジャーの大会でポイントを稼ぎながら、ランキングを上げて徐々にステップアップして夢を実現したいです。

母、ゆう子さんからのメッセージ

私にはないものを持っているのを小さい時から感じています。テニスへの強い志しにはいつも感服します。今までいつも私の期待や想像していた以上のレベルを超えて結果を出してきてくれました。その度に家族全員がとても幸せな気持ちにさせてもらいました! これからもどうか自分を信じて頑張っていって欲しいです。そして、どんな時でも諦めないプレーで、観る人を感動させる選手になってほしいと願っています。

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