第34回 QLD コミュニティーの星

 

第34回 コミュニティーの星

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


試合後に子どもたちと記念撮影をする三上(左)と尾形(写真提供:豪侍サッカー・アカデミー)

4月28日、ブリスベン西郊のダラ、夜間照明のカクテル光線に照らし出されたピッチで戦われたブリスベン・プレミア・リーグ(BPL)のブリスベン・フォース対ローガン・ライトニング戦。この試合では、観客席の一角をお手製のサインボードを上げて応援する子連れの日本人が占め、時に大きな歓声が上がるなど、普段は見られない光景が見られた。

彼らのお目当ては、フォースの三上隣一とローガンの尾形修斗。三上は以前、当コラムに登場した日本語サッカー・アカデミー「豪侍」の主宰で、若い尾形は三上のアカデミーを手伝いつつ、学業とサッカー選手稼業の二足のわらじを履きこなす。誰ともなく、両人の対戦を「豪侍ダービー」と呼び、アカデミーの教え子と保護者、そして彼ら自身の友人など併せて30人ほどの日本人がこの試合に足を運んだ。

残念ながら、途中交代で三上がベンチに退いた後に尾形が交代出場とピッチ上での対決は実現しなかったが、試合後に憧れの2人のコーチを囲む子どもたちには満足そうな表情が見えた。スタンドで言葉を交わしたローカルの男性は、「いったい、(三上は)何者なんだ。日本でスター選手だったのか?」と目の前の光景を見つめながら、不思議そうに尋ねてきた。「子どもたちにとって、リンは身近なコミュニティーの“スター”なのさ」と言うと、男は合点がいったとばかりに、大きく頷いた。

ここで登場を願うのは、ブリスベンのサッカーを語る時には欠かすことのできない“生き字引”の卜部(うらべ)太郎。セレッソ大阪などでプレーした元Jリーガーで、来豪後、自身も長くBPLでプレー、ブリスベン・ローカル・サッカーのすべてを熟知する。現役引退後は、自らの手で多くの日本人選手をQLDプレミア・リーグ(QNPL)とBPLのチームに送り込んできた。

そんな卜部に、日本人が所属クラブで活躍するのに必要なものを聞いた。「この国で生活しながらサッカーをする意味をしっかり理解することが大事。サッカーだけ上手ければ通用するといった考えでは、成功はおぼつかない。不可欠なのはコミュニケーション・スキル」。次号は、その卜部の言葉を実践してBPLの古豪クラブで活躍する、次代のコミュニティーの“スター”候補とも言うべき日本人選手にスポットライトを当てたい。


【うえまつの独り言】
マンチェスターUの香川真司のボスだったファーガソン監督が退任。それに前後してウェイン・ルーニーも退団の噂。7月に来豪するチームで、新しい監督の下、香川がどう輝けるか注目したい。そしてピッチ上での小野伸二との“シンジ対決”の実現…。うーん、堪らない。
 

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