第41回 QLD “試”の組

 

第41回 “試”の組

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


たとえ監督が代わってもケーヒルの得点力は欠かせない(写真提供=FFA)

今号は当然、先日のW杯組み合わせ抽選について書かねばなるまい。最初に断っておくが、タイトルは決して誤植ではない。“死”の組ではなく“試”であるが、その詳細は後述する。

おそらく、組み合わせ抽選の生中継を見守った熱心なサッカルーズのファンの多く、いやほとんどが深いため息を付いたことであろう。喜んだのは、スペイン、チリ、オランダにルーツを持つ人たちくらいだろうか。それほどにタフな組に入ったのであり、それは紛れもない現実。

4年に1回のW杯の組み合わせ抽選の度に、「やれ、どこが死の組だ」とか何かと喧(やかま)しく語られる。今回は、歴代優勝国3ヵ国が同居するD組を筆頭に、豪州の入ったB組などが“死の組”認定(?)を受けている。

ここで、手短に対戦相手を見ておく。まずは、何と言ってもスペイン。前大会の覇者かつ今回も優勝候補筆頭に挙げられる世界有数の強豪。そして、オランダは、いまだW杯の優勝カップには手が届かないが、常に安定的な成績を収める前大会準優勝の欧州の雄。チリも、強豪ひしめく激戦の南米予選を勝ち抜いてきただけに侮れない。と、まぁざっと見渡しても、どこから勝ち点を挙げるのか…という感想になるのは、もう仕方ないのである。

スポーツ界のお約束として、サッカルーズの選手も監督も、組み合わせを受けてのコメントは非常にポシティブで優等生的なもの。逆に、1人ぐらい「最悪、死の組だよ!!」とか素直なコメントがあった方が親近感も沸くのだが。

抽選の直後のポスタコグルー監督は「我々にとって、(この組み合わせは)とてつもない挑戦だが、オーストラリアのような国にとっては、これこそ一番望んでいたものだとも言える。W杯本番で、新聞の見出しを大きく飾るチャンスを得たんだから」とチャレンジャー精神を隠さなかった。誰がどう見てもB組でのチャレンジャーは豪州。何も自分を大きく見せる必要はなく、ただただ謙虚にあるべき。

だからこそ、選手たちには死の組に入った事実をとにかくプラスにとらえて、強豪中の強豪と世界最高の舞台でガチンコでぶつかれることを楽しみにしていてもらいたい。己より強い相手との対戦は“試練”であり、自分たちの可能性を測る良い機会となる。

残り7カ月の本大会。万全の準備をして、とにかく自分たちがどこまでできるかを全力で“試し”てもらいたい。サッカルーズは決してあきらめない。そうすれば、何かが実るはずだ。


【うえまつの独り言】
小野伸二のWSW、快進撃がしばし足踏み状態。負けないブリスベンに既に勝ち点5差と先んじられ、ケガ人での入れ替わりなどもあり、なかなか突き抜けられないでいる。小野のケガも癒えて、ほかのケガ人も何とか戻って来る今、これからの反転攻勢に期待したいところだ。
 

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