第40回 NAT 口は禍の門

 

第40回 口は禍の門

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


百戦錬磨のニールも激しいブーイングにはお手上げ!?(写真は昨年のオマーン戦・FFA)

11月19日、新生サッカルーズがコスタリカ戦に1−0で勝利、まずは無難な船出を切った。アンジ・ポスタコグルー監督がピッチに送り込んだのは、前体制下のチームで核として活躍してきた選手と、今まで構想の中には入っていたもののあまりチャンスが与えられていなかった選手が程よくミックスされた顔ぶれとなった。

この日の試合、内容はともかくとして、いろんな意味で一番注目を集めたのがサッカルーズのキャプテン、ルーカス・ニール。この試合の彼のパフォーマンス自体は非常に堅実で、非難を浴びるべきものでは決してなかったが、ファンの一部は、試合中からひたすらニールに対してブーイングを浴びせ続けるなど、容赦なかった。ニール自身も苛立ちを隠せず、感情を抑え切れなくなって、試合中、しかもプレー・オンの状況下で反撃に出てしまう。しかも英語圏では忌避される“Fワード”を使って…。

ニールは、オジェック解任までに発展したこのところの低パフォーマンスの元凶として、ここ最近ずっと批判の矢面に立たされてきた。そのことでイライラが募っていたと理解はしても、今回のリアクションは短絡的だったと言わざるを得ない。衰えは隠せないが、そのキャプテンシーでまだチームを引っ張っていけるという判断で、新生サッカルーズにも名前を連ねているのだから、自らの“強み”の評価に影響しかねない行為は褒められたものではない。

とはいえ、ホームで自国の代表チームのキャプテンを当該試合のパフォーマンスと無縁のところでブーイングを浴びせる行為を正しいとも思わない。無用なブーイングで自国の選手、しかもセンターバックという守りの要をイラつかせ、いったい自国のチームにどんなメリットをもたらすと考えているのだろうか。

試合後にポスタコグルー監督は、「ルーカスはあの状況に上手く対応していた。自分だったらもっと早くにキレていただろうね」とキャプテンの行為をさほど問題視しない姿勢を表した。一方で、FFAのギャロップCEOは、ニールの行為を「不適切」と言い切った。当の本人は、試合翌日に出演したラジオ番組での「自らの行為を後悔しているか」との問いに、「全くしていない」と即答、自らの正当性を主張する。

古くに「口は禍の門」と謂(い)う。今回の舌禍が、ニールの輝かしいキャリアの最後の拭えないシミとならないことを願いたい。


【うえまつの独り言】
W杯出場の32カ国が出そろった。当然、日豪両国の名前も含まれている。英ブック・メーカーの優勝オッズによると、アジアでは日本の151倍(全体で18位タイ)を筆頭に、豪州251倍、韓国501倍、イラン751倍と続く。まぁ順当な評価だろうか。
 

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