第54回 NAT 盛況

 

第54回 盛況

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


写真のイラク系家族など、アジア・カップならではの光景が会場周辺の至るところで見られた(筆者撮影)

アジア・カップがいよいよ大詰め。しかし、残念ながら大会に日本の姿はもうない。あまり書くと悔しさがぶり返すので、ここでは詳細には触れない。

当稿の締め切り時点では、大会は準決勝1試合が消化され、日本の仇敵、韓国が決勝進出を決めた(これもまた悔しい…)。大会の希望の星は、開催国の豪州。そのサッカルーズは、締め切り当夜にUAE戦を控えるが、必ずや日本の仇を討ってくれると信じたい。日本が去った今、豪州と韓国での決勝がコンテンツとしては一番面白い。決勝で、サッカルーズが日本の永遠のライバルである韓国を破ってくれれば、少しは日本敗退の溜飲が下がるのだが。

それにしても、この大会が盛り上がっているかどうかと問われれば、正直なところジャッジに迷う。筆者のように、サッカー関係者やファンから構成されるサッカー・コミュニティーに身を置いているのと、そうでないのとではあまりにも感じ方に差異があるのではないかと考えるからだ。

当地のサッカー・コミュニティー内だが、これは間違いなく盛り上がっている。参加各国の現地コミュニティーが、あの手この手で動員に奔走した結果、大会の観客動員数などの数字にもきちんと表れている。日本戦でも、予選グループはどの試合も盛況で大会全体の動員増に大きく貢献した。

しかし、サッカー・コミュニティーから離れるとどうなのだろう。テレビでの露出は、常にテニス、クリケットの後塵を拝す。会場の近辺ではさまざまな盛り上がりを体験できるが、少し会場から離れるとその熱気は届かない。地域住民の多くは、サッカルーズの試合でもない限りは、一体何の試合が行われているかすら知らないだろうし、知ろうとも思わないのだろう。

大会の盛り上がりに不可欠なのは、サッカルーズの勝ち上がりだ。準決勝進出で、かなり注目は集まりつつある。あとは、大観衆で埋まる決勝を制して、自国開催の今大会で“アジア王者”の称号を手に入れること。タイトル奪取はニュース・バリューも大きく、国民1人1人にアピールする絶好の機会となる。

これはサッカーに限らず言えることだが、自国の代表チームが強ければ、その競技を応援する国民は増える。それは、サッカーの世界でも、豪州のほかのスポーツの世界でも証明されている。豪州でサッカー人気を定着させるには、今回サッカルーズにトロフィーを掲げてもらうしかない。


【うえまつの独り言】
アジア・カップがまだ開催中だが、ひっそりとAリーグが中断期間を終えて再開されている。再開後は、アデレードがニューキャッスルを7-0で、シドニーFCがCCMを5-1で制するなど、大量得点の試合が続いた。アジア・カップが終わった後には、ぜひAリーグにも注目してほしい。

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