第55回 QLD 息吹

 

第55回 息吹

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


自国開催のアジアカップで栄冠に輝いた豪州代表サッカルーズ(写真提供:LOC Asian Cup 2015)

アジア・カップが終わった。日本のまさかの敗退で大いに落胆させられた大会だったが、サッカルーズが日本の宿敵・韓国を破って、アジア王者の座に就いたことで、多少は溜飲が下がった。そして、何よりも開催国の豪州にとって優勝という最高の結果で終わったことは喜ばしい。

決勝の夜は、サッカルーズの快挙の目撃者になろうとの思いでスタジアム・オーストラリアのメディア席からピッチを見つめた。約8万人が詰めかけたスタジアムは何とも言えない高揚感に包まれていた。そのスタジアムの多数派は筆者と同じく「サッカルーズの歴史的快挙の目撃者たらん」という熱心な豪州サポーターであったが、存外、赤に身を包んだ韓国サポーターたちの姿も、目に付いた。

試合は、ご存知のように豪州が韓国を2−1で破った。とても内容のある、気持ちのこもった素晴らしい試合だった。日本のライバルである韓国を手放しに褒めるのは気が引けるが、今大会の韓国は勝ちながら力を付ける戦いぶりで勝ち上がり、決勝戦ではアジアNo.1を決める試合にふさわしいチームになっていたことは認めないわけにはいくまい。

しかし、その上を行っていたのがアンジ・ポスタコグルー監督率いるサッカルーズ。ティム・ケーヒルという絶対的なエースを擁しながらも、大会前のケーヒルへの依存が今となっては幻だったのではと思えるほどに、マッシモ・ルオンゴやジェームス・トロイージといった若手が躍動。自国開催の大会で最大最高の結果を残し、「アジア王者」という最大の果実をもぎ取ることに成功した。

スタジアムに居合わせた約8万人のファンはもちろんのこと、中継放送によって、各家庭のテレビ画面やパブの大画面の下でも、多くのサッカルーズのサポーターたちが自国の代表の奮闘ぶりを見守った。そして、試合終了のホイッスルを耳にした瞬間に喜びを爆発させて、豪州中のサッカー・ファンが同時に喜びを分かち合った。

自国の代表チームによる快挙達成は、その国のサッカー人気の向上に大きく作用することは歴史が証明している。となると、今回のサッカルーズの快挙を受けて、この国のそこかしこで新たなサッカー人気の芽生え、そして、その成長の息吹が聞こえてくるに違いない。未来のサッカルーズたり得る多くの少年たちの自国の代表への憧れの念を育てることができたのであれば、このアジアカップは成功に終わったと言って間違いはない。


【うえまつの独り言】
Aリーグが再開している。ブリスベン・ロアもここのところ3連勝で何とかファイナル圏内まで巻き返してきた。そのロアのACLの試合が、GCで行われることが決まった。5月には、浦和レッズとの対戦もあるだけにGC在住の読者には朗報となる。

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