F1豪州GP観戦ガイド

2013年
豪州F1グランプリ観戦ガイド

レッドブル、フェラーリの2強を
マクラーレン、ロータス、メルセデスが追撃!

 モーター・スポーツの最高峰F1グランプリ(GP)が3月14〜17日、メルボルン市内アルバート・パークで開催される。2013年のF1グランプリ(GP)の初戦となるメルボルンGPの見どころ、そして年間の展望を紹介する。
文・写真=板屋雅博


3連覇中の世界チャンピオン、セバスチャン・ベッテル

2013年F1 GPは全19戦が行われるが、今年もメルボルンGPで幕を明ける。第1戦であることはメルボルンにとって重要な意味がある。シーズン開幕戦は世界の注目を浴びるため、今後の開催が危ぶまれるメルボルンにとっては継続する理由の1つとなっているからだ。
 5,000万ドル以上の巨額な経費に見合う直接的な収入がないことや、化石燃料を消費するF1に対する環境問題など批判的な意見もあるが、豪州はV8スーパーカーなど、モーター・スポーツ・ファンが多いのも事実。観光やスポーツで世界の主要都市を目指すVIC州としては、目玉イベントの1つとして確保しておきたいところだ。当面、15年までの契約は決まっているが、欧米のテレビ視聴者に合わせた夜間開催案などの問題も浮上している。
 開催維持積極派のテッド・ベイリューV IC州首相などは、今年はV IC州随一の観光名所であるグレート・オーシャン・ロードでF1疑似マシンを走らせるなど、各種PRイベントを年明けから意欲的に開催している。


地元豪州期待のマーク・ウェバー
 

昨年の覇者ジェンソン・バトン

今年のF1 GPを引っ張るのは、レッドブル、フェラーリ、マクラーレンの御三家。
 昨年レッドブルは、セバスチャン・ベッテル(独)が5勝、マーク・ウェバー(豪)が2勝と安定してポイントを稼いだ。ベッテルはミハエル・シューマッハ以来の3年連続の世界チャンピオンに輝いている。年間11勝と爆発した2011年ほどではないが、まだ25歳と若く今年も優勝の可能性が高い。
 豪州期待のウェバーも、個人6位と年間優勝を窺う。豪州は1980年のアラン・ジョーンズから年間優勝がない。豪州GPでも1980年のジョーンズ以来、オージー・ドライバーの優勝はない。昨年はウェバーが4位と頑張っており、今年はぜひ優勝を飾って地元の期待に応えてもらいたい。
 ここ数年元気がなかったフェラーリは、昨年はフェルナンド・アロンソ(スペイン)が3勝し、ベッテルと最終戦ブラジルGPまで世界チャンピオンを争うなど気を吐き、年間ポイントではわずか3点差までレッドブルに詰め寄った。また、解雇の恐れすらあったフェリッペ・マッサ(ブラジル)も、昨年後半は上位に食い込んで復調の兆しを見せた。
 マクラーレンは、ルイス・ハミルトン(英)が4勝、ジェンソン・バトン(英)が3勝と勝利数ではレッドブルと同じ。しかしハミルトンは今年、マクラーレンを離れてメルセデスへ移籍。代わりにセルジオ・ペレス(メキシコ)が入ったが、ハミルトンが抜けた穴を埋められるかが課題だ。反対にハミルトンを得たメルセデスは、上位の一角に浮上することが予想される。
 注目すべきはロータス・ルノーが4位に食い込んできたことだ。2007年の世界チャンピオン、キミ・ライコネン(フィンランド)が昨年F1に復帰し、アブダビGPで優勝した。ロータスは前身も含めて20年以上の歴史を持つが、うれしい初優勝を飾った。ライコネンも個人部門で堂々の3位に食い込み、元世界チャンピオンの実力を見せつけた。
 ロータスにはもう1つ注目すべき点がある。ロマン・グロージャン(仏)がスタート直後や第1週目にクラッシュを多発していることだ。自身のキャリア20戦中11戦で衝突事故を起こしており、12年は豪州、マレーシア、スペイン、モナコ、英国、ドイツ、ベルギー、日本と8戦で追突。それでいて個人8位に食い込んでいるのだから、立派と言うかあきれると言うか。「レース1周目の狂人」というあだ名がマーク・ウェバーによって付けられている。良くも悪くも今年のF1の台風の目となると他チームは戦々恐々としている。
 今シーズンは、レッドブルとフェラーリの2強をマクラーレン、ロータス、メルセデスが追う戦いとなりそうだ。


 

レースに華を添えるレースクイーンたち

12年最終戦ブラジルGPで、史上最多の91回の優勝と、7回の世界チャンピオンを誇るミハエル・シューマッハ(独)が引退した。10年に復帰してからは1勝もできなかったが、ベテランが去るのはさびしい。
 また日本の小林可夢偉は、10年に参戦してから3年が終わる12年末で、ザウバーのシートを失った。12年は日本GPで3位入賞し、鈴木亜久里、佐藤琢磨に続き日本人3人目のF1 GPの表彰台を飾った。9回の入賞で60ポイントを獲得して個人12位となったが、残念ながら契約延長には至らなかった。
 追い抜き技術などアグレッシブなドライビング・テクニックには高い評価があり、ドライバーの移動に伴っていくつかのチームに空席が出る可能性もある。14年にはまたメルボルンに戻って来ることを期待したい。

メルボルンGPが開催されるアルバート・パークは、シティから3キロほど南にある市内最大の公園。F1レースは、美しいアルバート・パークの湖を周回する5.3キロの公道を使用して行われる。
 高低差はほとんどなく、カンタベリー通り側のホーム・ストレッチや、セント・キルダ通り側の直線コースでは、F1の高速走行の醍醐味が味わえる。一方で、スポーツ・センター前や海側のサイドは厳しいカーブが続き、第6コーナーなどドライバーを悩ます難コーナーが多く、タフなコースであることが売り物でもある。高速から低速までの幅広いマシン性能とドライバーの高度な技術が要求される。

 

■シティ会場へのアクセス

シティから約10分のシャトル便トラムが往復する。途中乗下車はできないが、入場券を持った人は無料。
 会場には10カ所の入場ゲートがある。シティから近いのはゲート3、4、5だが、会場内でのアクセスが悪い。トラムのミドルパーク駅前の1番ゲートはメイン・ゲートで、催し物会場、屋台街などが近く一番のお薦め。セントキルダ通り側の8番、9番ゲートは入場者が少ない上に、湖の仮設浮き橋を渡るとメイン・ゲート前に出られる利点がある。
 駐車場は会場はもちろん周辺にもなく、車で行くのは難しいので注意。 シティから3番ゲートまでは歩いても20分ほどなので、確実に混み合う帰りのトラムを避けて歩くのも一手。

 
■お薦めの観戦場所

広大なアルバート・パークのどこで観戦するかは重要なポイント。レース開始の2時間前には観戦場所を確保しよう。
 会場にはレース・コース、観戦スタンド、催し物コーナー、VIPエリアなどいろいろな設備がある。まずは入場ゲートで地図を入手しよう。会場のあちこちでも配布しているのでなくしても大丈夫。
 第1ゲートを入るとF1 GPグッズなどの売店が並ぶ広場に出る。グランド・スタンドや企業用コーポレート・スタンドが並ぶが、ここは一般入場券では観戦できない。
 レース・コースをまたぐ陸橋を渡り左側へ行くと、第2コーナーから第3コーナーにかけて広い芝生の丘がある。ここがまず一番目の観戦場所。直線での高速F1の走りを楽しめる。F1初心者の場合は、マシン速度が速すぎてどのチームのマシンが走っているのかよく分からないほど。早めに良い場所を陣取ること。
 メイン・ゲートから陸橋を渡らずに左に歩いて行った所にも芝生が広がり、芝生に敷物を広げてのんびりできる。ここも高速レースの観戦が楽しめる場所。スポーツ・センター前から第3〜5ゲート前の第3コーナーから第6コーナーは、カーブが多く加速減速を繰り返す低速での走行が見どころ。観客席との距離も近く、F1マシンとの一体感も楽しめる。スピンや事故が起こりやすいのもこの辺りで、写真を撮るならばここ。特にスタート直後は、目を離せない。
 第9、第10コーナーは一番スピンしやすい場所。シャッター・チャンスを狙うカメラマンが待ち構えている。第8ゲート前の第10コーナーから13コーナーにかけては、高速のF1マシンが楽しめるバック・ストレッチ。この辺りは不思議と観客が少ないのでお薦めだ。
 グッズの販売店、イベント広場などがあるアルバート・パーク・ゴルフ・コースの芝生に陣取ってのんびりとレースを楽しむ方法もある。キッズ・コーナーもあり、家族連れがのんびり楽しめる。アルバート・パークの湖の中に仮設浮橋がかけてあり、反対側に歩いて湖を渡ることができるので、湖の両岸を行き来して楽しむのも一手。レース前になると往来する人が増えて入場制限されるので注意。
 第13コーナーから第14コーナー近くではセントキルダのアパート群がすぐ近くにあり、ベランダでBBQパーティーをしながら無料でF1観戦を楽しむ人々が見える。第15コーナーのシケインは、最も減速する場所であり、写真撮影に最適だ。

 

■アトラクション

4日間の大会期間の中でF1マシンの走行は、練習セッションを入れても多くはない。待ち時間はアトラクションを楽しもう。
 レース・コース内では、V 8 スーパー・カー・レース、クラシック・カー・レース、有名人レース、大学生模擬レースなどの各種レースがあるほか、コース外ではV8スーパー・カー・ゾーン、アクション・ゾーン、生バンドによるステージ・ショー、F1カーの歴史展示、モトクロス、F1レース体験コーナー、GPガール写真会、キッズ・コーナー、豪州空軍による航空ショーなど多種多様のアトラクションが会場のあちこちで実施される。
 見逃せないのは、F1ドライバーによるサイン会。14日(木)には、レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、メルセデスなどのレース・ドライバーが参加予定。チームごとに終日やっている。
 カンタス航空によるA380などの大型機が会場上空を飛ぶが、乗客が乗っている普段はあり得ない旋回飛行を見せてくれる。
 決勝当日は朝10時半からゲートがオープン。午後3時半にF1ドライバーのパレードが行われる。あっという間に選手たちは通り過ぎるのでカメラを構えて待とう。レースは、午後5時にスタートし、6時半前後に終了する。
 日焼け対策も十分にしておくこと。サングラス、帽子は必需品。日焼け止めは2時間ごとに塗布し、水も定期的に補給すること。耳栓は必ずしも必要ではない。
 酒類の持ち込みは禁止されており、ゲートで没収されるから注意。

 
■F1写真撮影指南

マニュアル機能の付いたカメラが必要。防御用の金網にピントが合わないようにレース・コースに予め焦点を合わせておく。できれば200mm以上の望遠レンズが欲しい。シャッター速度は1/600以上。天候によってはISO感度を上げておく。できるだけ金網の近くに陣取って置くこと。速度が落ちるシケインなどのコーナーが撮りやすい。F1マシンの動きに合わせて流し撮りにも挑戦してみよう。

F1 Australian Grand Prix 2013
会場:Albert Park
日程:3月14日(木)〜17日(日)
入場料:決勝$79、4日券$149など
Web: www.grandprix.com.au


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営

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