
オーストラリアでは、燃料減税の影響でガソリン小売価格は約1割低下したものの、イラン攻撃前と比較すると3割以上の水準で高止まりしている。燃料の高騰だけならまだしも、供給不安も高まっている。
ガソリンスタンドの価格や在庫状況をリアルタイムで伝えているウェブサイト「チェックペトロール」(checkpetrol)によると、14日午後の時点で、全国にある7,444カ所の給油所のうち、579カ所で少なくとも1種類の燃料の在庫が切れている。
シドニーなどの大都市圏では余裕がある。しかし、遠隔地では供給不足が深刻化しているところも出始めている。公共交通機関がなく移動手段をクルマに依存する地方では、生活や仕事に支障が出かねない。
経済合理性からエネルギー安保ないがしろ
オーストラリアはエネルギー輸出国だが、主力は天然ガスと石炭だ。原油は、南部に海底油田があり、北部では天然ガスの副産物として生産している。しかし、生産コストが高いため、経済合理性の観点から製油所を次々と閉鎖してきたため、2カ所しか残っていない。
現在、ガソリンや軽油、ジェット燃料といった液体燃料の9割を輸入に頼っている。国内に増産の余力はない。
加えて、国内の備蓄日数は、4月7日の時点で、ガソリン38日分、軽油31日分、ジェット燃料28分(連邦気候変動・エネルギー・環境・水資源省)にとどまる。石油備蓄が248日分(1月末時点=資源エネルギー庁)ある日本と比べて圧倒的に少ない。
アルバニージー首相、トップ外交にまい進
こうした苦境を打破するため、アンソニー・アルバニージー首相は、液体燃料の主要輸入先であるアジア諸国とのトップ外交に注力している。
4月初めにはシンガポールを訪問し、同国で精製される石油製品の安定供給を要請した。オーストラリアは石油精製品の26%をシンガポールから輸入している。逆に、シンガポールはLNGの32%をオーストラリアから輸入している。
ホルムズ海峡の封鎖により、原油だけではなくカタールなど湾岸諸国産LNGの輸出も止まった。世界第2位のLNG輸出国であるオーストラリアとしては、LNGの安定供給と引き換えに、アジア製の石油製品をなんとか確保したいところだ。
アルバニージー首相は14〜17日、産油国のブルネイ、石油製品の主要輸入先であるマレーシアも歴訪する。エネルギーをはじめ、石油や天然ガスを原料とする肥料、食糧など必需品の安定供給を相互に図るとしている。
◼️ソース
Joint statement on economic resilience and essential supplies(Prime Minister of Australia)