
Vol.52 どこでもできるフィットネスで自分の体を自在に操る
こんにちは。ヘルス・コーチのASAMIです。東京は日に日に蒸し暑さが増してきましたが、シドニーは涼しくなってきた頃でしょうか? 寒さが苦手な人は、日本の冬季をオーストラリアで過ごし、常夏を楽しむ人も多いでしょう。以前は私もその1人でした。しかし、近年、日本の夏の湿度が異常で過ごしづらさを感じるようになってきたことに加え、オーストラリアでフィットネス・イベントが豊富なことも相まって、日本の夏期に訪れることが多くなりました。
以前、同コラム(Vol.31・Vol.43)でも紹介した「Australian Fitness Expo」が毎年9月にシドニーで開催されています。昨年の同Expoで多く見掛けた、自重を重力で操るフィットネス・スタイル。体操やカリステニクスを用いたトレーニング・ブースも多く出展されていました。クロスフィット・トレーニングには、ウエイトリフティング・体操・有酸素運動の要素が含まれていますが、私の最近のトレーニング・スタイルはウエイトリフティングを減らし、自重トレーニングの要素を多く入れています。理由としては、自身の理想の体とウエイトリフティングで作られる体の方向性が違う部分があり、動ける好きな体をキープするには、自重トレーニングの方が向いていると感じているからです。
先日、東京で行われた「カリステニクス東京」の養成講座を受けてきたので、今回はその様子を紹介します。
カリステニクスとは?体操との違い

カリステニクスとは特別な器具を使わず自分の体重(自重)を負荷にして行うトレーニングの総称です。古代ギリシャ語の「美(カロス)」と「強さ(ステノス)」に由来しており、ただ筋肉を肥大させるだけでなく、しなやかで機能的な美しい肉体を作り上げることを目的としています 。体操(主に器械体操や一般的な自重トレーニング)とカリステニクス(Calisthenics)は、どちらも「自分の体重を負荷にして動く」という根本は同じですが、目指す方向性、ルーツ、そしてコミュニティーの文化に明確な違いがあります。
一言で表現するなら、体操は「ルールの中で究極の美と技を競うスポーツ」であり、カリステニクスは「自分の身体を自由にコントロールする強さを追求するカルチャー」です。
それぞれの特徴をいくつかの軸で分解してみます。
ルーツと目的(どこから来て、どこを目指すか)
【体操(Gymnastics)】
・ルーツ:古代ギリシャの身体訓練や、19世紀ヨーロッパの軍隊・学校教育が起源
・目的:厳格に定められたルールと採点基準の中で、技の「難度」と「完成度の美しさ(減点がないこと)」を追求する競技スポーツ
【カリステニクス(Calisthenics)】
・ルーツ:語源はギリシャ語の「美(Kallos)」と「強さ(Sthenos)」。元々は健康維持のための自重運動だったが、現代ではストリート・ワークアウト(公園の鉄棒などを使った運動)と融合して進化
・目的::自分の身体を完全に支配(コントロール)し、重力に抗う圧倒的な筋力と機能性を手に入れること
技の方向性と評価基準
【体操】
・動的な美しさと流れ:美しいつま先の伸び、膝の展伸、空中での姿勢など、ジャッジ(審判)に評価されるための「完璧なフォーム」が絶対。また、技から技への滑らかな「流れ(フロー)」が重視される
【カリステニクス】
・静止する強さと自由度:プランシェ(上体支持)やフロント・レバー、ヒューマン・フラッグ(人間鯉のぼり)のように、「重力に逆らってその場でピタッと静止する強さ(アイソメトリックな筋力)」が象徴的。誰かに採点されるためではなく、自己表現や限界への挑戦という意味合いが強い
トレーニングの環境と道具
【体操】
・専用の設備が必要:床、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒など、専用の器具と安全なマットが敷き詰められたジムで行うことが前提
【カリステニクス】
・どこでもできる(ミニマリズム): 公園の鉄棒、平行棒(ディップスバー)、あるいは床と壁さえあれば成立する。環境を選ばないストリートな手軽さが魅力

体操が「決められたフレーム・ワークの中で究極の芸術性を目指すアカデミックな世界」だとすれば、カリステニクスは「身体1つでどこまで自由になれるかをストリートで追求するライフスタイル」と言えます。どちらも驚異的な身体能力が必要ですが、そのエネルギーのベクトルの向きが異なります。
カリステニクス東京
元陸上自衛隊精鋭部隊に所属していたDaisuke氏が創業した、東京を中心に活動するカリステニクス・コミュニティー。日本で初めて、ワークショップやクラスを開講し、日本のカリステニクス第一人者として、カリステニクスを生活に取り入れて、生活の質を高めて欲しいと活動している。カリステニクスをより多くの人の生活に取り入れてもらうために講師を増やそうと「カリステニクス東京養成講座」を開講。講座は座学と実技に分かれていて、座学は理学療法士の方々からケガを事前に防ぐための動作確認や筋肉の構造など、実際に自身の筋肉に触れながら、学んでいく。実技では、カリステニクスの基本的な動作やさまざまなクライアントに向けて調節できるように、段階別の提案方法などを学べる。
クロスフィットともリンクする部分もありながら、より自重トレーニングにフォーカスしているので他のフィットネスのケガ予防にも併せて学べる良さがあるなと感じました。カリステニクスならオンラインでもできるので、自身のオンライン・クラスでも要素を取り入れていきたいと思います。養成講座が気になる人はホームページやInstagramをチェックしてみてくださいね。
カリステニクス東京
Web: https://calisthenicstokyo.com/start/
ASAMI Profile

ヘルス・コーチ。オーストラリアでクロスフィットに出合い、しっかりと筋肉を付けた動ける体作り、強くてポジティブな幅広い世代の女性たちや世界観に魅了され、日本でもっとたくさんの人にクロスフィットを伝え、フィットネス習慣を付けてもらいたいと思いトレーナーに転身。現在、関東・関西のジムやホテル、オンラインを中心にヘルス・コーチとして活動中。
Instagram: @asami_fitness