
オーストラリア国内で流通しているタバコ全体に占める非合法品の割合が、ニコチン消費量ベースで8割に達したという衝撃的なデータが明らかになった。ブラックマーケット(闇市場)にまん延する非合法タバコの実態とは?(リポート・文:守屋太郎)
(注:非合法タバコの収益は犯罪組織の資金源となる可能性があります。本記事は非合法タバコの購入を推奨しているものではありません)
オーストラリア統計局(ABS)が3日発表した調査によると、ニコチン消費量は2017年から25年の間に40%増え、この間の人口増加率14%を大幅に上回るペースで拡大している。
背景にあるのが、闇市場で流通している非合法タバコだ。ニコチン消費量全体に占める非合法タバコの割合は17年には12%だったが、25年には80%に達した。
オーストラリア政府は喫煙者を減らすため、タバコ税を段階的に引き上げてきたが、禁煙政策は破たんしていると言える。タバコ税の引き上げにより、小売価格は主要国でトップクラスとなり、高額となった正規品は急速にシェアを落とした。代わりに、闇市場で取引されている低価格の非合法タバコの市場が急拡大した。
ABSによると、16年12月と25年12月の小売価格を比較すると、合法的な正規品は2.7倍値上がりした。一方、非合法タバコの価格は横ばいとなっている。
現在、大手スーパー「ウールワース」が販売している正規品の価格は、20本入りで50豪ドル(約5,700円)前後、標準的な25本入りで60豪ドル(約6,900円)以上となっており、普通の愛煙家が気軽に買える金額ではない。一方、非合法品は正規品の3分の1程度の価格で出回っている。
当局とタバコ店の「モグラたたき」
非合法タバコの密輸や卸売には、犯罪組織が関与しているとされる。小売も違法だが、当局の取り締まりは厳しくなく、事実上、黙認されていると言っても誇張ではなさそうだ。タバコ自体は違法薬物ではないため、喫煙者の購入も法的にグレーゾーンとなっており、簡単に手に入れることができる。
シドニー南郊の駅前にある個人経営の小さなタバコ店。非合法の紙巻きタバコやタバコの葉を販売していたが、5月に突然、シャッターを閉めた。隣に新しいタバコ店がオープンしていたので、「隣の店はどうしちゃったの?」と聞いてみたら、店員は「経営者は同じだよ」と笑って話した。
前の店が摘発されて営業停止に追い込まれたため、空いていた隣の店舗で営業を再開した可能性が高い。喫煙者が多い中東系住民の町という土地柄もあり、周辺にはこうした非合法品を売るタバコ店やスーパーが、筆者が知る限り4軒はある。
取り締まりや罰則が緩いため、万が一摘発されても、同じ経営者が閉店と開店を繰り返す。踏み込まれても足がつかないように、注文を受けてから商品を外に取りに行く店もある。
そこまでして営業を続けるのは、高いタバコ税がかからない非合法品の儲けが大きいからだろう。まるでモグラたたきのような当局と販売店の攻防は、まだまだ続きそうだ。
■ソース
Household consumption of illicit tobacco and nicotine products(ABS)
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