チャールズ・キングスフォード・スミス卿メモリアル/ブリスベン国際空港

先日、ブリスベン国際空港にVIPを迎えに行く機会があった。飛行機の到着時間は定刻とは限らず、便によって前後するが、VIPのお迎えだけにタイミングが重要。入管に掛かる時間も読めないので、最新の着陸時間をフライト・トラッカーで確認して、更にその15分前には着くようにする。
早く着いてもすぐには駐車場には入らない。ブリスベン空港の30分刻みで上がる駐車料金はもはやボッタクリ級。程良い頃合いまでは、国際ターミナルのすぐ近くにある「キングスフォード・スミス卿メモリアル」の駐車場で時間を潰すのが常である。本来の目的外で駐車場を使うのが申し訳ないので、時間に余裕がある時はメモリアルの中をのぞく。そこでは、飛行機の格納庫を模したバンカーの下に伝説の”サザンクロス号”が静かな勇姿を横たえている。
チャールズ・キングスフォード・スミス卿は、むしろシドニーの人びとにとってなじみが深い名前かもしれない。シドニー国際空港は、キングスフォード・スミス国際空港と彼の名を冠している。また、その名は知らずとも、誰もが1度は顔を見たことがあるはずだ。鮮やかな赤色の20豪ドル札のメガネを掛けた紳士こそ、スミス卿その人だ。
ブリスベン出身で20世紀初頭に活躍したスミス卿は、豪州航空界が誇る世界的な飛行士で、愛機サザンクロス号と共に史上初の太平洋横断飛行を成し遂げたことで知られる。”翼よ、あれがパリの灯だ”の名台詞で有名なチャールズ・リンドバーグとは互いを認め合う好敵手で、航空黎明期のパイオニアたる稀代の英雄と並び称される。
そんな歴史的偉業を成し遂げたサザンクロス号を間近で拝めるこのスポット。あまりにも知られていないので今回取り上げてみたのはいいが、そのスケールの大きさはどうしても写真や文章だけでは伝え切れない。これは新調したiPhone17を使いこなせていない筆者の腕が良くないのもあるので、筆者諸兄には、ぜひ1度、現地に足を運んでみて欲しい。目前で翼を広げ、今にも飛び立ちそうな迫力を味わって頂きたい。
それにしても、どうしてだろう。飛行機というヤツは、幾つになっても私たちの冒険心をくすぐるのか。サザンクロス号の翼の下から眺めていたら、その答えが少しだけ分かった気がしてきた。
大空へ挑み、愛機の翼に浪漫を乗せて飛ぶ飛行士は、いつの時代も変わらず私たちの憧れであり続ける、これからもずっと。

植松久隆(タカ植松)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人