
「最近なんとなくお腹がスッキリしない」「毎日は出ないけど大丈夫?」便秘は年齢を問わず多くの人が悩む身近な症状です。便秘というと「下剤を飲むもの」というイメージを持つ方もいますが、実は生活習慣や食事を見直すことで改善するケースも多くあります。
薬剤師というと“薬を出す人”という印象があるかもしれませんが、実際には薬だけではなく、食事、生活習慣、市販薬の選び方まで含めてアドバイスをしています。本連載ではオーストラリアで活躍する薬剤師から健康情報を届けします。
まず大切なのは「原因を知ること」
実は、便秘は原因によって対処法が大きく異なります。今回ご紹介するのは、主に食事や水分不足、運動不足など、生活習慣からくる一般的な便秘についてです。
一方で、薬の副作用によって便秘が起こることもあります。特に比較的よく見られるのが、鉄分サプリメントや一部の処方薬による便秘です。
この場合、単純に便秘薬を追加するだけではなく、原因となる薬との相性を考えながら便秘薬を選ぶ必要があります。
そして以下の場合には、自己判断で済ませず、GPなど医療機関への受診が重要です。
・急に便秘が悪化した
・長期間続いている
・強い腹痛がある
・血便がある
・原因がはっきりしない
薬剤師は、「まず生活改善で様子を見るべきか」「市販薬を使ってよいか」「受診が必要か」の判断もサポートしています。
腸活=「たくさん食物繊維を摂る」ではない?
「腸活」と聞くと、まず食物繊維を思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん食物繊維は大切ですが、急に増やしすぎると逆にお腹が張ったり、ガスが増えて苦しくなることもあります。特に普段あまり食物繊維を摂っていない人は注意が必要です。
大切なのは、“少しずつ”増やすこと。
オーツ、野菜、果物、全粒粉パンなどをバランスよく取り入れながら、水分もしっかり摂ることがポイントです。

便秘対策では、「何を食べるか」も重要です。
果物には水分や食物繊維が含まれており、便秘対策として日常に取り入れやすい食品です。
特に洋梨(pear)は、一般的な日本の梨と比べて食物繊維が多く、便通改善を目的として取り入れる人もいます。また、キウイフルーツは腸の動きをサポートする食品として知られています。
オーストラリアでは、ちょうど今の時期はキウイフルーツや洋梨が旬。季節の果物を楽しみながら腸活に取り入れるのもおすすめです。
また、プルーンには食物繊維に加えてソルビトールが含まれており、自然な便通改善を期待して取り入れる人も多くいます。ただし、食べ過ぎるとお腹がゆるくなることもあるため、少量から試してみるとよいでしょう。
ヨーグルトは腸内環境を整える目的で取り入れられることが多く、毎日少しずつでも継続して食べることがポイントです。
また、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品も、日々の食生活の中で無理なく取り入れやすい食品です。
水分と運動も意外と重要
便秘相談で意外と多いのが、水分不足です。
特にオーストラリアは乾燥しやすく、気づかないうちに水分不足になっていることもあります。
また、コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物をよく飲む方は、「水分を摂っているつもり」でも利尿作用により体の水分が十分に保たれていないこともあります。忙しい日ほど、意識して水やノンカフェインの飲み物をこまめに摂ることが大切です。
さらに運動不足によって腸の動きが低下することもあります。激しい運動でなくても、ウォーキングやストレッチなど日常的な動きが腸への刺激につながります。
薬局でよく相談される便秘薬
生活習慣の改善だけでは難しい場合、市販薬を使うこともあります。
オーストラリアの薬局でよく使われる代表的な製品には、以下のようなものがあります。
👉Metamucil

食物繊維(サイリウム)を補うタイプで、便のかさを増やして自然な排便をサポートします。小さじ1〜2杯を水に溶かして服用しますが、水分摂取が不十分だと効果が出にくいため、十分な水分と一緒に使用することが重要です。
👉Coloxyl with Senna

便を柔らかくする成分(docusate)と腸を刺激する成分(senna)の組み合わせです。一般的には寝る前に2錠服用し、翌日〜翌々日にかけて効果が出ることが多い短期使用向けの薬です。
👉 Movicol

便に水分を集めて柔らかくするタイプで、比較的マイルドに作用し、慢性的な便秘にも使用されます。粉末をコップ1杯の水に溶かして服用し、必要に応じて量を調整しながら使用します。
👉 坐薬(suppository)

錠剤で効果が不十分な場合の選択肢として使用されます。直腸から作用し、比較的早く効果が期待できます。毎日使う必要はなく、必要時に補助的に使う方法として有効です。
薬局は「健康について気軽に相談できる場所」
オーストラリアでは、薬局は「とりあえず薬を買う場所」ではなく、健康について気軽に相談できる場所でもあります。
便秘も、「すぐ下剤」ではなく、食事、水分、運動、生活習慣、市販薬まで含めて総合的に考えることが大切です。
薬剤師は、症状に応じて「まず生活改善から」「この場合はこの薬がおすすめ」といった実用的なアドバイスを行っています。
「なんとなく不調」を我慢せず、気軽に薬局で相談してみるのも1つの方法です。
*メールでのご相談も受け付けています。薬や健康について気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。

Profile
鐵池めぐみ(カナイケメグミ)
薬剤師。シドニー大学薬学部卒業後、オーストラリア薬剤師国家資格を取得。シドニー及び南オーストラリア州の大学病院で、がん治療を中心とした臨床薬学に20年以上従事。現在は、がん治療の研究に携わる傍ら、薬局を拠点に英語と日本語で薬の相談や服薬支援を行っている。
Email: megkanaike@gmail.com