ここ20年で2回の大被害を受けた洪水警戒区域のど真ん中に“リアル店舗版Temu”のQLD第1号店が!?/タカ植松のQLD百景 第59回

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某ホームセンター大手の空き店舗@ロックリー

Text and photo: Taka Uematsu

 何の変哲もない写真で申し訳ない。何の特徴もない建物は、最新のiPhoneをもってしてもただ普通にしか映らない──それを証明したいわけではないのだが……。

 この建物を見て「あっ」と思う人は、なかなか目ざとい。見慣れた大きな看板がないからピンとこないだけで、あのお馴染みの赤字ロゴが掲げられていれば、「あぁ、あそこね」とすぐ分かるブリスベン・サウスの住民は少なくないはずだ。

 この業界最大手ホームセンターの元店舗は、15年前の洪水で大被害を受け、一時閉店を余儀なくされるも復活。ところが4年前の洪水では、近隣店舗が万全の洪水対策を施して華々しく新装開店した一方で、同じ洪水で再び大被害を受けたロックリーのこの店舗は、リース切れのタイミングで完全閉店となった。

 閉店後もしばらく空きテナントのままだったので、「さすがにあの大きなスペースを埋められる業態は限られるよな」と思って見ていた。ところが最近、前を通る度に人の出入りがあるのを目撃し、「ようやく借り手が付いたのか」と思っていた矢先、SNSで新聞記事の見出しが目に飛び込んできた。

 そのヘッド・ライン曰く── 「リアルTemu──安全管理が不安視され物議を醸す小売業者がQLD州に進出」。

 VIC州で既に2店舗を展開しているディスカウント・ショップ・チェーンがQLD州第1号店の準備を進めており、ロックリーの空き店舗がその栄えある第1号店に選ばれたというニュースだった。

 「パンダ・マート」というネーミングからして中華系を容易に連想させるが、創業は南アフリカらしい。そして“リアル店舗版Temu”というニックネームが示す通り、取扱商品のほとんどは中国製。実際、今年に入ってメルボルンの店舗では、陳列商品の安全性に疑義があるとして3日間の営業停止処分を受けている。まぁ、商品の品質も推して知るべしといったところか。ある記事にあった「ステロイドを服用したリジェクト・ショップ」という表現が、何とも生々しい。

 少しググってみると、既に開店スタッフの募集も始まっているようで、オープンは近そうだ。家からも近いので、1度は覗いてみようと思う。TemuなるECサイトは利用したことも、する予定もないので、リアルTemuの訪問が先になるが、そのクオリティーやいかに。

 それ以前に──「二度あることは三度ある」と言うように、そもそも洪水対策は大丈夫なのだろうか……。洪水リスクよりも目先の利益優先。これもいわゆる1つの“チャイナ・スタンダード”なのかもしれない。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人

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