日本の床屋文化をブリスベンで根付かせようと頑張る床屋で「薄毛でもカッコ良く」してもらった話/タカ植松のQLD百景 第60回

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TOKOYA JAPAN@アルダリー

Text and photo: Taka Uematsu

 数カ月前にSNSで知り、ずっと行きたいと思っていたブリスベンの床屋。筆者の生活圏“サウス”からは川を挟んだ向こう側、ブリスベン・“ノース”のアルダリーにある「TOKOYA JAPAN(床屋ジャパン)」。

 たまたまの休日。ノースで働く山の神を「車で送って行くよ」と喜ばせ、その帰り道、開店間もないタイミングを見計らって、さもふらりと立ち寄ったかのような顔でドアを開けた。

 「薄毛でもカッコ良くしてくれますか」なんて、一見さんのあまりに突飛な口上に、オーナーと思しき女性が一瞬驚いた表情を見せるが、次の瞬間、

 「あー、あのスレッズの。やっとお会いできましたね」

 と満面の笑み。4カ月前、開店直後にSNSでやり取りしたことを覚えてくれていたその人がオーナーのアキさんだった。

 「なんかイメージ湧いてきた」のひと言に、少し寂しくなった頭髪を委ねると、耳に心地良いハサミのシャキシャキという音が響く。この日最大のお楽しみは顔剃り。当地のバーバーではなかなか体験できない、日本理容が誇る技術にうっとり。耳元で響くジョリジョリという音まで、この国で聞けるとは思っていなかった。極め付きは眉剃り。それだけで顔付きがキリッと締まり、推定6歳半ほど若返った(本人調べ)。

 居抜きで借りた店舗を少しずつ理想の形へ近付けているという店内は、総木目の内装が心地良い。散髪をしてもらいながら話を聞くと、理容師ひと筋19年というアキさんの思いがあふれ出す。

 「日本の床屋を日豪両国をつなぐ架け橋にしたいんです。そして、日本が誇る理容文化をこの国の人たちに届けたい」

 そんな熱い思いは、既に形になり始めている。筆者が顔剃りまで堪能している間、もう1人の理容師・レナさんは、ウォーク・インで訪れたローカル客を3人も次つぎとさばいた。皆、さっぱりした表情で「また来るね」と店を笑顔で後にした。

 「なかなかのイケオジですよ」

 そんなひと言を掛けられれば、悪い気はしない。顔剃りまで終えて、更に推定3歳、合計約9歳半若返った(気になる)アラフィフ……いや、すっかりアラフォーは、鏡に映る自分は至極満足なご様子。

 近い将来、多店舗展開も視野に入れているというので、「ぜひサウスにも」としっかりアピールして筆者も笑顔で店を後にした。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人

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