
W杯の熱戦が終わり、次の大会を待ち続ける生活があと4年も続くと思うとため息が出る。それでも、フットボールの世界は動いている。ここ豪州も例外ではない。
ローカルのフットボール・シーズンは佳境を迎え、各リーグで、そろそろファイナル進出の行方が見えてくるころ。他方、豪州のトップ・リーグであるAリーグは、来たるシーズンの準備の最終段階に差し掛かるところだ。
そんなクラブの多くが国内カップ戦のオーストラリア・カップで相まみえ、幾つもの“カップセット”(筆者注:カップ戦で起きる下位リーグ勢によるアップセット)が起きている。各州のNPL(州1部)クラブがAリーグ(豪州1部)のクラブを破る試合が相次ぎ、NPLとAリーグの力関係の変化が顕著になってきているのを実感する。
昨年から、NPL王者が出そろう10月にフットボール・オーストラリア(FA)主催の「豪州2部」を標榜する「チャンピオンシップ」なる大会が開催されている。ただし、この大会にはAリーグとの昇降格のシステムがないだけでなく、わずか2カ月にも満たないほどの大会期間でとても“リーグ”と呼べるものではない。
参加するのは、各州のトップ・リーグであるNPLから選ばれ「ファンダメンタル・クラブ」の地位を得たクラブ。そこに、各州NPLの王者が加わる。要するに、これまで「豪州2部相当」として扱われてきたNPLとの二重構造。しかも、公式インスタグラムのヘッダーには「16クラブが“チャンピオンズ・リーグ”様式で争う豪州2部……」とある。これはつまり、自ら「通常のリーグ戦とは異なる大会」だと説明しているに等しいのではないか。
FAのゴリ押しもあってか、既成事実を生み出すウィキペディアでもチャンピオンシップは「豪州2部」のステータスを与えられている。それを受けてか、最近はNPL各クラブを「豪州3部」と表記するメディアも現れてきた。
現役の選手では、少しでも所属リーグのレベルを高く見せたい心理からか、チャンピオンシップに参戦していないクラブ所属でも今まで同様「豪州2部」と書く傾向が顕著で、ヒエラルキー表示に混乱を来している。
当コラムの立場としては、当面、Aリーグを豪州1部とするヒエラルキーにチャンピオンシップを組み込むつもりはない。NPLに関しては、これまで通りに「州1部・豪州2部相当」との表記を貫きたい。
2年目のチャンピオンシップが、少しでも本来の“2部リーグ”のあるべき姿に近づいていくのかを見極めたい。そして、機が熟せば、チャンピオンシップを正当な「豪州2部」だと認めよう。
ただ、今はまだその時ではない。これが、現時点での筆者の認識だ。
植松久隆(タカ植松)
ブリスベン在住のライター/コラムニスト。日豪フットボール関係を軸に、現地視点で競技の背景と熱量を描くスタジアムとコミュニティーを往復する観測者。Nichigo Press以外にも、多くの日本のメディアで執筆