労働党首相として在任期間4番目に

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー連邦首相が、引き続き与党労働党(中道左派)の党首として次期連邦選挙を戦い、3期目の再選を目指す考えを明らかにした。
14日付の公共放送ABC(電子版)によると、アルバニージー首相は保守系の民放テレビ「ニュース24」の番組で、首相に就いているのは「個人的な功績」のためではなく、経済を強くする改革のためだと強調。政権を3期(通常9年)全うするとして、次期選挙を戦う方針を明確にした。
1963年生まれの63歳。政界引退後に企業などで第2のキャリアを送ることが多いオーストラリアの政治家としては、若くない。前妻と離婚後、野党党首時代に付き合い始めた40代女性と25年に再婚した。後妻の出身地であるニューサウスウェールズ州東部セントラル・コーストの海岸には、オーシャンビューの豪邸を購入。引退後の生活を視野に入れているとの憶測も浮上していた。
野党党首として戦った2022年の連邦選挙で労働党を勝利に導き、9年ぶりの政権交代を実現した。24年の前回連邦選挙で圧勝して再選。14日には、在任期間が4年83日となった。ポール・キーティング元首相(1991年12月〜96年3月)を上回り、史上4番目に在任期間が長い労働党の首相となっている。
支持率急上昇の右派政党が台風の目に
次期の連邦選挙は、下院の全議席と上院の約半数を改選する「通常選挙」の場合、28年5月20日までに実施される見通しだ。
直近では、アルバニージー首相率いる与党労働党の支持率は低迷している。最大の要因は、移民受け入れの削減などを主張する右派の「ワンネーション」が、2大政党の労働党と保守連合(自由党、国民党)から急速に支持を奪っていることにある。
ワンネーションは現状、下院2議席、上院4議席の小政党だが、一部の世論調査で労働党を上回る支持を集めている。「行き過ぎた移民受け入れが、住宅難や高いインフレを招いた」と感じる保守層の受け皿となった格好だ。
調査会社「ニューズポール」の最新の世論調査によると、各政党別支持率は、労働党が29%とジュリア・ギラード元首相時代(07年〜10年)以来の低支持率を記録。ワンネーションは29%で並んだ。保守連合は18%まで低下。一方、議会の第3勢力である環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)は左派の受け皿となり、14%と一定の勢力を維持している。
イメージ良くない「性的発言」
アルバニージー首相は、このところ、悪意がないと見られるものの、見方によっては女性蔑視と受け取られかねないコメントが目立っている。
7月には、オーストラリアの有名歌手カイリー・ミノーグさんに関する性的発言で謝罪した。高市早苗首相が5月の来豪時に贈った日本産のメロン(スラングで女性の乳房)についても、やゆするしぐさやコメントが不適切だったとして、野党や山上信吾・前駐豪大使から批判を受けている。
首相官邸や外務省は静観していて、外交問題に発展する可能性は低そうだ。ただ、うっかりとは言え、相次ぐ舌禍は内政面でマイナスしかない。
次期選挙まで1年9カ月。国民の既存政党離れを食い止め、3選を果たせば、労働党首相として最長政権を築いたボブ・ホーク元首相(83〜91年)の背中も見えてくる。掃除人のシングルマザーに育てられ、貧しい生活から成り上がった庶民派宰相の真価が試される。
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