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オーストラリアで刑事事件に巻き込まれたら④ – 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第44回:オーストラリアで刑事事件に巻き込まれたら ④

弁護士の選び方

「弁護士に依頼すべきなのか?」

これはよく聞かれる質問なのですが、間違いなく弁護士に依頼した方が良いでしょう。

刑事事件の被疑者・被告人になった場合、あなたには弁護士に依頼する権利が保障されています。裁判所では1日に何十件と刑事事件が処理されており、裁判官は被告人が高い水準で裁判に臨む準備ができている前提で話を進めているので、審理に関係のない質問や相談に時間を割くことはありません。

また、裁判所の慣習として最初にプライベートの弁護士が付いている被告人から裁判が行われ、その後に国選弁護人が付いている被告人の裁判が数件ずつまとめて行われます。

弁護士が付いていない被告人は一番最後に裁判が行われるので、弁護士を付けなかった場合、予告なしに何時間も待たされることがあります。

「指定された時間に裁判所に行ったものの、数時間待った挙句にどのタイミングで入廷すれば良いのか分からず帰ってきた」「何が何だか分からないうちに裁判が延期になってしまった」といった相談を時々受けることがあります。オーストラリアでは経済的に自費で弁護士費用を支払うことができない場合には「リーガル・エイド(Legal Aid)」と呼ばれる国選弁護人を付けてもらうことができるので、プライベートの弁護士に依頼が難しい場合はリーガル・エイドに相談してみてください。

ただ、リーガル・エイドはほとんどの事件について事前に綿密な打ち合わせをした上で減刑の嘆願をしたり、被害者がいる事件について被害者と示談交渉をしたりという精力的な弁護活動をしてくれるわけではなく、裁判当日に被告人と会って短時間(数分~長くて数十分)の打ち合わせをするだけで裁判に臨むことになります。

その点、自費でプライベートの弁護士に依頼した場合、事前に弁護士と十分な打ち合わせをすることができ、弁護人は事件に至った経緯と犯行理由、被告人のキャラクター、今後社会に危害を及ぼす可能性や再犯の可能性がないことなどを汲み入れた弁護活動を行って、減刑を求めることが可能になります。

この弁護活動によって量刑に差が出る可能性は大きく、できる限り量刑を軽くしたいという人は、事前にプライベートの弁護士に相談することをお勧めします。

刑事弁護は誰が担当しても同じではなく、弁護士次第で結果が変わることが大いにあり得ます。被疑者や被告人にとって、弁護士選びはまさに人生の明暗を分けるほど重要なことなのです。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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