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言語の発育について
 ブレット先生のバイリンガル教育指南 第3回

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 今回は簡単に言語の発達についてご紹介します。

 バイリンガル環境の子どもは母国語のみを話す子どもに比べ、初めて言葉を喋り出す時期が多少遅いケースがありますが、実際に言葉を話すようになれば、自然に差がなくなるため、心配する必要はありません。特に3歳になるまでは理解できる言葉の方が話せる言葉よりも圧倒的に多いのです。また生まれてから数年の言語の発達スピードは驚くほどの速さです。言葉の習得過程では、基本的に文法の大まかなルールをまず吸収し、徐々に細かいルールを覚えていくという仕組みになっています。

 2、3歳になると、普段(しかも遊びながら)両言語で話せる文がさらに長くなり、親以外の人にも本人が何を言っているのか通じるほどになるでしょう。幼稚園児になると、会話は以前より複雑になりますが、現実から離れて具体性の欠けたことを話すようにもなり、話す話題やテーマもさらに広がります。あらゆる統計により意見はさまざまですが、だいたい1歳半の時点で約50個の単語が理解でき、基本的に5歳になった時点では、言語の約9割の文法を理解するとともに、知っている平均的な単語数は1万個以上になると言われています。

 英語においては規則動詞の過去形は正確に言えるようになりますが、不規則動詞を正しく使いこなすにはまだ数年かかります。なお、5歳から6歳までは両言語ともに言えることですが、同じ単語なのに文脈によって違う意味になるということにも気付く年齢です。

 さらに英語の発達では、能動態と受動態を正確に使い分ける能力も養われ始めます。ただし、あくまでも子どもの言語発達は、それぞれ個人差がありますので、もし気になることがありましたら、学校の先生や小児科の先生、専門家などに相談されるとよいでしょう。

 最後に、子どもが聞いてインプットすることは極めて重要です。直接子どもに話しかけたり絵本を読んであげたりすることで、子どもの耳に入る単語数が多ければ多いほどたくさんの語彙を吸収し、その分、子どもが話す量も実際に多くなります。直接相手に話すということは大切なポイントとなるわけです。だいたい2歳になるまで、テレビのインプットが言語発育に役立つことはなく、子どもが意識的に理解してテレビを見ていても動画や画像のみしか頭に入ってこないと言われています。わが子の言語発達を促進するための一番良い方法は、乳児期から直接子どもに頻繁に、かつ自然に話しかけていくことです。子どもが小さくても、話しかけられていることに反応し、話に付き合うということが言葉の発達にも繋がるのです。

 では、次回からは具体的なバイリンガル教育についてお話していきたいと思います。

ブレット・カミング プロフィル

◎愛知県立大学外国語学部英米学科准教授。QLD州グリフィス大学卒(日本語・日本史専攻)、サザン・クイーンズランド大学大学院応用言語学修士課程修了。ケンブリッジ大学連合で大人向けの英語教育講師免許を取得。「バイリンガリズム」の研究以外に、「日本人英語学習者の対照修辞学」「自己確立と言語教授」「言語・文化と言語方策における関係性」などがある。現在いくつかの「バイリンガリズム」に関連した執筆を行っている。バイリンガル教育に対する興味、関心のある人は、以下より直接の連絡が可能
Email: bcsensei@protonmail.com
Web: brettcumming.weebly.com

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