第17回 雇用主指名永住権(2)

人気コンサルタントが解説!

これだけは知っておくべき!

豪ビザ入門

海外でキャリアを築くために欠かせないのが、ビザ設計。オーストラリアで取得できるさまざまなビザに関して、これだけは知っておくべきというポイントや注意点をプロに学ぼう。

第17回 雇用主指名永住権(2)

今回は前回に引き続き雇用主指名永住権(サブクラス186:ENS)で多くの申請者が陥る「落とし穴」について説明します。

その落とし穴とは、ENSが新しい法律となり、以前の審査基準とは違うにもかかわらず、以前と同じように対応して申請が却下されたり、大きな問題になったりする「落とし穴」です。特に最近改定された移民法の場合、本人はもとよりビザ・コンサルタントもその法改正と最新の知識と、その具体的な運用方法をしっかりと理解していない場合が多いので注意が必要です。

例えば、一時就労技術ビザ(Temporary Work Skilled Visa:Subclass 457)で2年以上仕事をした方が同一のスポンサーの下、同一の職種でENSの申請をすると審査基準が大幅に緩和されます。しかしながら、そのスポンサーとなる会社のトレーニング記録の審査は逆にたいへん厳しいものとなります。直接ENSを申請する場合、そのスポンサーとなる会社は1年間のトレーニング記録だけを提出すればいいのですが、ビジネス・ビザからENSを申請する場合は、その一時就労技術ビザのスポンサーシップが承認されてから数えて最長で3年間の研修支出の証明の提出が必要となる場合もあります。

ENSの法改正の前は、この研修費は「On the Job Training」、または「In House Training」で多くは認められていました。しかし最近では、その法律内容はそれほど違わないのですが、移民局の担当者の判断によっては、たいへん厳しいものとなっているようです。

以上のような理由から、われわれはクライアントに対し、以前のようにリスクの高い「In House Training」の研修支出リストの提出ではなく、より確実でリスクの低い外部に対する研修支出リストの提出をお薦めしています。もし、研修支出が却下の理由となった場合、マイグレーション・リビュー・トリビューナル(Migration Review Tribunal = MRT)にその決定について上告することができます。しかし、上告してから結果が出るまで約1〜2年かかり、また費用もかかり申請者のストレスも高くなることから、われわれはMRTに上告するよりは、研修支出に1%以上の費用を支払い、よりしっかりした証拠を作ることをお薦めしています。

9月の選挙で労働党が負け、連合政府が勝ったため、今後必ず、移民法についての大幅な改正がされると予想されます。しかしながら、10月、11月にENSの移民法自体が大幅に改正されることはあまり現実的ではありませんのでご注意ください。


日本ブレーン・センター・オーストラリア社長 山口正人
シドニーで日本人に向けたビザ申請代行・ビザコンサルティングなどを行う、(株)日本ブレーン・センター・オーストラリアの創設者。豪州のビザ事情を知り尽くす。

 

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る