
SAF(技術者養成支援基金)への支払い
今年もあと数カ月、オーストラリアのビザに関しては、目まぐるしい改正が行われた1年でしたが、そうした改正に関連して、まだまだいろいろな情報が交錯しているようです。そんな巷(ちまた)に溢れる情報の中で、今月はSAFについてお話します。
今年3月18日、457就労ビザに代わる「482 TSSビザ」が導入されました。この変更に伴い、457ビザ、482TSSビザ、186ENS並びに187RSMSビザのスポンサー会社によるノミネーション申請において、トレーニング・ベンチマークを満たす条件から「SAF(Skilling Australian Fund/教育訓練省内技術養成支援基金)」の支払いが課せられることになりました。8月12日からこの支払いに関する「SAFレビー(Levy)」という制度が正式に施行されていますが、金額は申請するビザ、希望滞在年数、スポンサー会社の売り上げによって決まります。ノミネーション申請によるSAFレビーの内容は以下の通りです。
2018年8月12日以降のノミネーション申請
- 482TSSビザ
- ノミネーション申請時に指定する年数分(1~4年)の支払いが必要。
- 年間売上1,000万ドル未満の会社:1年当たり1,200ドル
- 年間売上1,000万ドル以上の会社:1年当たり1,800ドル
- 186ENS、187RSMS
- ノミネーション申請時に支払いが必要。
- 年間売上1,000万ドル未満の会社:3,000ドル
- 年間売上1,000万ドル以上の会社:5,000ドル
18年8月12日以前に既に457ビザまたは482TSSビザを保持している労働者がいる場合、スポンサー会社は同日までの期間、トレーニング・ベンチマークを満たしている必要があり、更に今後その労働者の186ENSまたは187RSMS一時滞在移行ストリーム(Temporary Residence Transition Stream)申請を検討する際、ノミネーション申請の段階でSAFレビーの支払いの必要性が生じます。
以上から、同日までのトレーニング・ベンチマークに加えSAFレビーと、スポンサーによっては余分な出費となることも考えられますが、今後はスポンサーとなる会社の売り上げ及びビザの種類などに応じて、オーストラリア人労働者の技術向上を目的とする費用の負担が決定することになります。
トレーニング費用の捻出に関してはスポンサーに課せられている義務であり、この義務を怠ってしまったために186ENSや187RSMSなどの永住権の申請ができなくなるということも起こり得ますので、ビザ保持者もスポンサーとの確認をこまめに行っておくことが必要です。

清水英樹(Hideki Shimizu)
QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、各種不動産売買手続き専門法律事務所「Conveyancing Home QLD」を経営する。