「ポーター法務長官は法制答申を選択的に公表」

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メディバック問題で行政控訴審判所が判決

 豪領外難民希望者収容所に収容されている傷病者を豪領内の医療機関に輸送する「メディバック」制度について、クリスチャン・ポーター法務長官は、当時、法制専門家から受けた答申を保守連合政府の都合のいいところだけ抜き出して公開していたことが行政控訴審判所の判決で明らかにされた。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 ポーター法務長官は、1988年に同じ弁論大会に参加していた女性が、ポーター氏に強姦されたと訴えていたが、女性は2020年6月に自殺しており、それに伴って警察も捜査を終了している。しかし、この訴えが明るみに出される前にも、保守連合大臣の女性元職員が男性職員に大臣執務室で強姦されたと訴えており、連邦議事堂内での女性の待遇が大きく問題化しており、ポーター法務長官は現在、リンダ・レイノルズ国防大臣と並んで疾病休暇を取っている。

 メディバック制度発足にあたって、ポーター法務長官は、「法律答申で、メディバック法に基づいてオーストラリア領内の医療機関に輸送された難民収容所収容者を領外収容所に送り戻すことはメディバック法で禁じられている」と発言した。

 3月23日に発表された行政控訴審判所の判決は、「ポーター法務長官は、2019年のメディバック法案審議時に政府の都合に合わせて、法答申のごく一部だけを発表し、政治的に政府に有利になるように図った」としている。

 野党労働党からこの法案が出された当時、少数派内閣になっていたモリソン連邦政権のポーター法務長官は、この法案を葬り去るため、「一旦、オーストラリアの病院に運ばれた難民希望者を元のマヌス島やナウルの難民収容所に送り返すことは法的に禁じられている」と、答申のごく一部だけを公開し、チャネル9、ABC放送で同じ発言を繰り返し、諸派無所属議員がこの法案に反対するよう導いた。

 ただし、ポーター法務長官のこの行為にも関わらず、同法案は成立し、同年の連邦選挙で保守連合が多数議席を獲得して政権を維持するとこの法制を廃止してしまった。これに対して野党労働党が情報の自由法に基づいてポーター法務長官の受けた法的答申の公開を要求し、政府が公開に抵抗すると労働党は行政控訴審判所(AAT)に持ち込み、AATの判決が出された。
■ソース
Christian Porter disclosed ‘limited part of legal advice’ on medevac ‘for political advantage’, tribunal finds

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