ソーラーパネル設置世帯から「売電料徴収」計画

SHARE

電力市場管理機関案をエネルギー専門家が批判

 オーストラリアの電力市場を管理する機関、(AEMC)が、ソーラーパネルを設置し、余剰電力をグリッド(送電網)に売っている世帯に対して、電力企業が「売電料」を徴収することを認める考えを示しており、これに対してエネルギー問題専門家がAEMC批判を始めている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 AEMCでは、「屋根のソーラー・パネルからグリッドに送り込まれる電力量が急速に増えており、それに対応するためには送電施設の拡充が必要になっている。その資金を作るためにソーラー・パネルからグリッドに売電する世帯に対して売電料を課金する」考えを検討している。

 VIC大学のエネルギー・エコノミスト、ブルース・マウンテン教授は、「AEMCは、電力送電企業のロビー活動に屈服した。電力送電企業は現在商業的な競争に脅かされている。送電企業は電力を発電所から送電線を通じて消費者に配達することで利益を得ているが、今や電力を買い取る際にも売主から料金を徴収しようとしている。しかも、AEMCまでが企業の主張を受け入れてしまっている」と分析している。

 また、「しかし、どの送電企業も、電力市場管理機関に対して、国民世帯のソーラー・パネル電力買電増大に対応するために大規模で高価なインフラストラクチャを建設しなければならないとは訴えていない」と語っている。

 平均的世帯の電力料金の約半分が送電設備利用料金になっており、スノーイー2.0水力発電プロジェクトによる送電網拡充には30億ドルの予算が見積もられており、その経費は消費者が電力料金を通して負担している。マウンテン教授は、「スノーイーのプロジェクトにソーラー・パネル売電料金という理屈を当てはめると、30億ドルの送電網拡充経費は電力消費者ではなく、スノーイー2.0プロジェクトが負担しなければならないということになる」と語っている。

 さらに、「平均的ソーラー・パネル設置世帯はグリッドへの売電により、年間$640を稼いでいる」とのAEMCのモデルリングについても、マウンテン教授は、「現実のソーラー・パネルによる売電収入はもっと低い」と主張している。

 AEMCの規則変更に対する一般の意見は5月13日まで受け付けており、6月に最終的な決定が出る。
■ソース
Energy experts slam plan to charge households supplying solar to the grid

SHARE
Google Adsense
[the_ad_placement id="single-new-bottom"]