2州と連邦がワクチン接種スケジュールで論争

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「接種作業遅い」「納入スケジュールが不明」

 NSW州とQLD州の接種作業が予定よりはるかに遅れているため、連邦政府が、「どうして遅れているのか? 作業を急げ」と批判した。それに対して、両州の保健相が、「何の連絡もなく突然大量のワクチンを届けられても、ワクチン接種作業の医療従事者は全力を尽くして作業を進めているのに予定の立てようがない」と反論している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 グレッグ・ハント連邦保健相の批判に対して、NSW州政府のブラッド・ハザード保健相は、「連邦政府は何の通告もなくいきなり45,000用量分のワクチンを送りつけてきた」と反論している。

 さらに、「NSW州政府が抱えているワクチンの50%しか消化していないという連邦政府から流れた報道は事実を曲解しており、ウイルスと前線で闘っている医療従事者に対する侮辱であり、作業を妨害するものだ。届けられるワクチンの数量を1日か2日ほど前日に知らせられてもすぐに対応はできない。私だけでなく、他の州・準州の保健相も連邦政府の言い方には憤慨しているはずだ」と語っている。

 ニューズ・コープ系紙に掲載された記事は連邦政府筋の情報として、「NSW州が連邦政府から納入された190,610用量のうち96,273用量しか接種していない」と述べている。

 ハザードNSW州保健相は、「連邦政府から13,700用量が届くという連絡を受けていたが、届いたのは45,000用量だった。それから何日もしないうちに、メディアで、NSW州政府が届けられたワクチンを接種実施施設に配布していないと報道された。夜中に45,000用量を玄関に置き去りにして、明日の朝までに州全域に配布しろと言われてもできるわけがない」と語っている。

 3月29日にはQLD州政府が連邦政府と口論しており、「連邦政府からのワクチン供給が定期的に行われるとは信じられないため、接種開始時からワクチンを備蓄してきた」と発表されている。

 NSW州政府部内には、「連邦政府は、最近の不手際をごまかすため、州政府に責任を転嫁しようとしている」との声も挙がっている。

 グラディス・ベレジクリアンNSW州首相は、「NSW州内ではすでに15万人が接種を受けているが、そのうちNSW州政府の施設で10万人、連邦政府施設では5万人にしかならない。それが現実だ」と語っている。

 スコット・モリソン連邦首相は、「私はそのような論争に関わるつもりはない」と語っており、ハント保健相とニューズ・コープ系メディアに預けている。
■ソース
Vaccine feud erupts between NSW and federal government

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