「50歳未満には避けるように」の連邦勧告も参考に
4月8日夜、医学専門家パネルが、「50歳未満のアストラゼネカ・ワクチン接種は避けるように」との勧告を発表し、同9日朝にはNSW州で同ワクチンの接種作業を一時中断していたが、同日中に接種を再開した。グラディス・ベレジクリアンNSW州首相と話したスコット・モリソン連邦首相は、「NSW州で接種作業に中断があったのは接種作業の調整のためであり、医学的な問題だという主張は間違いであることがはっきりした」と語っている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
グラディス・ベレジクリアンNSW州首相はすでに1回目のアストラゼネカ・ワクチン接種を受けており、2回目の同ワクチンを受けるつもりだと発表している。また、医学専門家パネルも、「アストラゼネカ・ワクチンによる血栓のリスクは非常に低く、50歳未満でも本人の同意があれば同ワクチンの接種も問題ない。また、1回目で血栓症の出なかった人は2回目も問題ない」と発表している。
これまでのアストラゼネカ・ワクチン接種結果でも同ワクチンで深刻な副反応が出るのは100万人に6人未満と推定されている。
NSW州で9日朝に数時間の間、同ワクチン接種が中断されたのはワクチンによる血栓症の問題ではなく、同ワクチンを50歳未満に投与しないことになったため、接種実施現場で作業職員に変更を伝え、被接種者の同意書に変更を加えるためと伝えられている。
ベレジクリアン州首相は、「私は昨年50歳になったばかりで、アストラゼネカ・ワクチンを受けた。2回目もそうするつもりだ。ケリー・チャント主席医務官も同じで、アストラゼネカ・ワクチンがワクチンの主軸として一般に出回っているためにアストラゼネカ・ワクチンを選んだ」と語っている。
さらに、「NSW州では今後も50歳未満の人には事情を説明し、本人の了承があればアストラゼネカ・ワクチンを接種する」と語っている。
ファイザー・ワクチンはベルギーで製造しており、摂氏零下70度で保管しなければならないため、オーストラリアへの輸送だけでなく、国内の遠隔地への輸送や保管も難しい。また、ワクチンのコストもアストラゼネカ・ワクチンよりも高価という欠点がある。
連邦政府は、ファイザー・ワクチン4,000万用量の供給契約を済ませており、2回の接種が必要なことから、国内で2,000万人に接種ができる計算になる。
■ソース
NSW resumes AstraZeneca vaccine rollout after temporary suspension