「海外のホットスポット渡航許す連邦政府は異常」
コロナウイルス対策は、連邦、州の首相と準州の主席大臣で構成される全国閣僚会議での合意で進められてきたが、これまで何度も連邦と州との間できしみがあった。その大きな課題の一つが、入出国管理は連邦政府の管轄でありながら、海外からの渡航者・帰国者のホテル隔離などの責任は州・準州に負わされていることだった。
WA州パース市の隔離ホテルから漏れ出たウイルスによる感染のために3日間のロックダウンを宣言したのをきっかけとして、マーク・マクガワンWA州首相が、「もう我慢も限界に来た。連邦がまとめて渡航者・帰国者の隔離施設を作ってはどうか。そもそもコロナウイルス・ホットスポットになっている国での結婚式出席などに連邦政府が渡航を許し、ウイルスを持ち帰る結果になるのは異常だ」と語っている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
マクガワン州首相は、「クリスマス島の連邦入管収容所やキンバリーのダービー地区にあるカーティン空軍基地など連邦の施設が帰国者・渡航者の2週間の隔離に好適ではないか。カーティン基地は1500人ほどの収容能力があり、これからは涼しい季節になる。過去に難民希望者収容に用いられたこともある」と語っている。
さらに、「連邦はあちこちに空いた施設を持ちながらそれを利用することは拒否し、州政府に負担を押しつけている。どの州も連邦政府の態度にはほんとうにうんざりし始めていると思う。これまで州は連邦政府に協力を惜しまずやってきたが、このような状態をこれから1年以上も続けることはできない。そろそろ連邦政府が努力すべき時ではないか」と語っている。
しかし、連邦政府広報担当官は、「2020年3月に全国閣僚会議で、帰国者・渡航者の2週間の隔離は州・準州政府が担当すると決めたはず。連邦政府もNTのハワード・スプリングスの施設を運営してきた。保健省、国防省、国境警備部の職員が議会で詳しく証言したように、国防軍基地や入管収容所は帰国者の隔離宿泊所としては不適切だ。基地は稼働中の施設であり、国防軍人員に感染リスクが及ぶことは認められない。また、軍基地の施設は最低限の設備しか備わっておらず、しかも、医療機関や集中治療設備から遠く離れている」と否定的な見解を発表している。
■ソース
Mark McGowan at end of his tether in quarantine stoush with federal government