専門家、遅れがちなワクチン接種活動に警告
複数の疫学者が、「海外との双方向人的交通には国民の間のワクチンの普及が不可欠であり、政府が1年以内に現在の国境閉鎖を解除したいなら現在のコロナウイルス・ワクチン接種活動のペースを倍にしなければならない」と警告している。
ABC放送(電子版)が伝えた。
オーストラリアではこれまでに約186万人に少なくとも1回はワクチン接種が済んでいる一方で、アストラゼネカ・ワクチンと血栓症の因果関係が気づかわれており、50歳未満には適用しないようにとの専門家パネルの決定も出て接種活動が鈍っている。また、ある専門家は、「現在の接種のペースでは国民全体に接種が行き渡るまでに何年もかかる」と指摘している。
さらに、オーストラリアとニュージーランド(NZ)の間で、隔離免除の双方向人的移動の「トランス・タスマン・トラベル・バブル」が今週から発足しており、また、カンタス社のアラン・ジョイス会長も、「2021年中にさらに他の国との間にもトラベル・バブルが導入されるものと語っている。
しかし、NSW大学の疫学者、メアリー=ルイーズ・マクロウズ氏は、「現在の接種ペースでは全員にワクチンが行き渡るまでに何年もかかる。国境閉鎖解除の前に20歳から49歳までの国民の85%にワクチンが行き渡っていなければならない。また、現在、1日に7万人程度に接種が行われているが、1年以内に国境閉鎖を解除するためには1日に14万人程度のペースで接種していかなければならない」と否定的な見解を述べている。
また、NSW大学の国際バイオセキュリティと感染症の専門家、レイナ・マッキンタイヤ教授は、「人口の70%から80%程度が接種を済ませていないと国境閉鎖を解除することはできないが、現在のペースではとても追いつけない。むしろ、一般開業医(GP)に接種を任せる必要がある」と語っている。
スコット・モリソン連邦首相は、「国境閉鎖解除を急がない」と発言しており、当分は接種のペースを上げることも国境閉鎖を解除することも見通しが立っていない。
■ソース
Australia’s COVID vaccine rollout speed needs to double for borders to reopen within a year, experts warn