「最高150人」が国家安全保障にも脅威に
連邦政府の情報機関報告書が、「犯罪組織がカンタス航空社に浸透しており、その数は150人にもなると発表している。
6月3日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
犯罪取り締まり当局は、バイキーズその他の犯罪組織がカンタス航空社に浸透し、ドラッグ密輸入その他国家安全保障を脅かすような行為に利用している、と判断している。
プロジェクト・ブルネロのコード・ネームを持つ連邦機密法執行機関の情報活動でカンタス社社員150人程度が犯罪組織に関わりがあると推定されている。この情報活動で、カンタス社に浸透している犯罪組織の活動にはオーストラリア国境警備にとって非常に脅威になる種類のものもあるとしている。
守秘義務からその内容を公にできないある情報筋によると、カンタス社内に入り込んでいる「信頼されているインサイダー」としてバイキー・ギャングのコマンチェロに近しい人物がおり、国際的なドラッグ・カルテルのボス、ハーカン・アイイクともつながりがある。この人物はカンタス航空のシドニー空港営業部内で中級管理職の地位にあり、同機関が集めた情報によると、犯罪者を集めて同航空会社に引き込み、麻薬密輸入を手伝わせている。
この内部情報は、カンタス航空社にとっても連邦政府にとっても重大な問題であり、さらには、保守連合政府が提出し、警察が支持している法案に反対する労働党にとっても重大な問題になる。
この法案は、政府関係の航空、海上関係の職場で労働者にセキュリティ・クリアランスを与える際に当該労働者の犯罪情報を採用し、その可否を決めることができるようにする、というもの。
一方、カンタス・グループのルーク・ブラマー最高セキュリティ責任者は、「カンタスは豪国境警備部(ABF)からTrusted Trader認定を受けている唯一の民間航空会社だ。この認定の条件として、国際航空貨物に関わる業務につく社員はすべてその適性をチェックされるということだ。国境警備部からは、当社の社員がこの適性チェックに通っていないという通告は来ていない」と語っている。
しかし、プロジェクト・ブルネロの2020年7月報告書では、「カンタス航空社の『信頼されるインサイダー』が犯罪組織と関わりがあり、密輸幇助によってオーストラリア社会に重大な害悪をもたらす可能性がある」とされている。
■ソース
Qantas infiltrated by organised criminals, says intelligence report