3州政府と医療界、モリソン連邦首相指示に反旗
6月28日、スコット・モリソン連邦首相が、「40歳未満にもアストラゼネカ・ワクチン接種するように」と州・準州に指示した。
これに対して、30日にはNSW、QLD、WA3州政府が、「医学専門家の勧告は依然変わっていない。アストラゼネカ・ワクチンは60歳以上に限定する」と反論しており、連邦政府からのワクチン供給不足も手伝って、州と連邦との軋轢が高まっている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
30日、NSW州のケリー・チャント主席医務官は、「州運営の接種クリニックでは60歳未満へのアストラゼネカ・ワクチン接種はしない」と態度を明らかにしている。
連邦政府へのワクチン諮問機関のATAGIは、現在も、「60歳未満にはファイザー・ワクチンが望ましい」としているが、28日夜、モリソン連邦首相は、アストラゼネカ・ワクチンを60歳未満、さらに40歳未満に接種するGPに対して無過失免責を適用する」と発表した。
しかし、29日以降には豪医師会(AMA)も、さらにはモリソン連邦首相の部下にあたるグレッグ・ハント連邦保健相も、「国民はATAGIのアドバイスに従うよう」呼びかけており、連邦政府部内の不一致に、一般開業医団体のRoyal Australian College of GPsが、「一体どうなるのか明らかにしてもらいたい」と要望する結果になっている。
NSW州に続いて、QLD州もジャネット・ヤング主席医務官が、ATAGIの勧告に従う考えを明らかにしており、WA州もマーク・マクガワン州首相がモリソン連邦首相の発言には従わないと意思表示している。
AMA NSWのダニエル・マクマレン会長は、「州政府の立場が正当だ。ATAGI勧告は変わっておらず、アストラゼネカ・ワクチンは60歳以上に投与するのが望ましい」と語っている。
また、マクガワンWA州首相は、「60歳以上でもアストラゼネカ・ワクチンを躊躇する人がいる。ワクチン接種を広めるためには60歳以上でもファイザー・ワクチンを希望できるようにすべきだ」と語っている。
■ソース
‘A personal choice’: NSW clinics will not give AstraZeneca to under-40s