アストラゼネカ社のワクチン、認可を見越してCSL社で
オーストラリア連邦はオクスフォード大学とアストラゼネカ社が第III相試験段階にあるコロナウイルス・ワクチン生産の契約を済ませていたが、11月9日には、「開発中のワクチンが認可されることを見越して国内のCSL社で生産を開始する」と発表されている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
認可前の量産開始は営業的にはリスクが大きいが、第III相試験の結果が明らかになるのは早くとも2020年末で、今から量産を開始しておくと2か月早く国内供給にこぎつけることができ、2021年中期頃と予想されている。
現在生産が予定されているのは3,000万回分で、同日、VIC州のCSL社ですでに生産が開始されている。
イギリスのオクスフォード大学とアストラゼネカ社のコロナウイルス・ワクチンが第III相試験で認可されても、オーストラリアでは医薬品管理局(TGA)の認可を受けなければオーストラリア国内での販売や接種はできない。
このリスクを負ったCSL社の方針について、アンドルー・ナッシュ最高科学責任者は、「この賭けに勝ち、十分な報酬があることを期待している。私達はワクチン開発の手順を媚び越えており、ワクチン認可が下りれば短期間でワクチンを配布することもできる。このワクチンが免疫反応を引き起こしたところは見ているが、さらに大勢の人に接種し、コロナウイルス感染を防ぐことができるかどうかを調べなければならない」と語っている。
ただし、ワクチンが認可を受けてもそれでパンデミックが終熄するわけではない。ABC放送の医学担当者、ノーマン・スワン氏は、「コロナウイルス・ワクチン症状を防ぐ効力が50%あれば認可されるが、感染を防ぐ効力ではないことに留意されたい。最初に出回るワクチンは一般に予想されるほど効力が十分ではないかも知れない」と語っている。
豪連邦政府はQLD大学(UQ)で開発中のタンパク質を基本とするワクチン開発を支持しており、これも、国際的にワクチンを公平に分配することを目的とするCEPIの支持も受けている。UQのワクチンは現在第一ステージの治験中であり、認可されればやはりメルボルンのCSL社で量産化を進めることになっている
■ソース
Coronavirus vaccine production begins in Australia before Oxford-AstraZeneca’s products last stage of approval