少数勢力は引き続き二大政党に不満を持つ層の受け皿に でも相応の議席を獲得できないのはなぜ?

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オーストラリア連邦選挙、各党の得票率

 公共放送ABC(電子版)によると、3日投票のオーストラリア連邦選挙(下院)では、与党労働党(中道左派)が一次得票率(選好票配分前の優先順位1位の得票率)で34.6%を獲得した(グラフ)。前回選挙と比べた得票の増減率「スウィング」はプラス2.1%となった。保守連合はマイナス3.9%と急落した。

 政党としては第三勢力のグリーンズは、マイナス0.4%と伸び悩んだ。ただ、グリーンズとティールを含む少数勢力全体の一次得票率は、現時点で合計33.2%に達している。少数勢力が躍進した前回選挙では史上最高の31.7%だったが、最終的にこれを上回る可能性がある。

 選挙結果は、与党の大勝と保守連合の地滑り的敗北により、選挙戦開始前に予測されたハング・パーラメント(少数与党、少数政権)にはならなかった。このため、少数勢力は下院でキャスティングボートを握ることができなかったが、既存の二大政党に不満を持つ有権者のおおむね3分の1の受け皿となり、影響力を維持した格好だ。

 ただ、投票用紙の全候補者に数字で優先順位を付ける複雑な選挙制度「優先順位付連記投票制」(下院)は、得票が二大政党に収れんする傾向が非常に強い。労働党と保守連合に有利なシステムとなっているため、少数勢力はどうあがいても一次得票率に見合った議席数を獲得することができないというジレンマがある。

 なお、得票数が単純に一番多い候補者が当選する日本の衆議院小選挙区の「単純小選挙区制」と異なり、優先順位付連記投票制は1位の候補者の得票率が50%を超えるまで、2位以下の選好票を配分する作業を人の手で繰り返していく。

 この開票方法は、接戦選挙区では当選が確定するまで非常に時間がかかる。全議席の当選が確定するまでに長ければ数週間かかる場合がある。このため、各党の議席数や得票率は今後多少変動するが、大勢は変わらないと見られる。

■ソース

Australian Federal Election 2025 Live Results (ABC News)

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