オーストラリアの「グリーンズ」ってどんな政党? 主張は石炭・天然ガス開発停止や大麻合法化など

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党勢は下院で縮小も、上院では単独でキャスティングボート握る

厳しい気候変動対策、大企業や富裕層への課税強化などを掲げるグリーンズの看板(Photo: 守屋太郎)

 オーストラリア連邦選挙で与党労働党が大幅に議席を伸ばした結果、第3勢力の野党「グリーンズ」(緑の党)は、アダム・バント党首自らが落選するなど下院4議席のうち少なくとも3議席を失った。同党は、石炭・天然ガスの新規開発の即時停止など強力な気候変動政策、富裕層や大企業への課税強化、家賃凍結、大麻合法化、パレスチナ開放など、中道左派の与党労働党よりもさらにリベラルな政策を掲げる。オーストラリアの国政政党では、最も左寄りの立ち位置だ。

 メルボルン市内やシドニー南西部といった大都市で極端に支持率が高いという特徴がある。環境保護に熱心なインテリ層や若者に支持され、世論調査の支持率はおおむね10%台前半で推移。今回の選挙でも11.7%(前回選挙比マイナス0.5%)の一次得票率を獲得した。改選前の議席数は下院4、上院11と、労働党、保守連合の二大政党に次ぐ勢力がある。

 労働党が下院の過半数を割ったギラード政権(2010年〜13年)では、与党と閣外強力を結んで少数与党を支え、議会のキャスティングボートを握った。与党が過半数を割る「ねじれ議会」が状態化している上院でも、しばしば法案通過の主導権を握り、影響力を発揮してきた。

 前回22年選挙では、クイーンズランド州で3人の新人を当選させ、下院で現職のバント党首を含む合計4議席と躍進した。しかし、今回は現時点までにクイーンズランド州で下院2議席を失い、同州ライアン選挙区(未確定)の1議席の勝利も現時点で確定していない。

 ただ、グリーンズは上院(最終的な議席数は未確定)では改選前の11議席前後の勢力を維持しそうだ。上院では労働党が引き続き過半数に満たないものの、議席を増やすと見られていることから、与党法案に最大野党の保守連合が反対した場合、グリーンズは単独でキャスティングボートを握ることになる。下院で勢いを失った一方で、上院ではむしろ影響力を拡大する可能性が高いと見られている。

■ソース

Greens leader Adam Bandt defeated in Melbourne, leaving party without its captain(ABC News)

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