ダーウィン港リース権、中国から取り戻せるの?

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トランプ政権に近い米ファンドが買収提案へ オーストラリア有力紙報道

中国企業が99年間のリース権を獲得して管理しているオーストラリア北部のダーウィン港(Photo: Wikipedia)

 中国企業「嵐橋集団」(ランドブリッジ)がオーストラリア北部ダーウィン港をリースしている問題で、27日付の全国紙「オーストラリアン」は、「中国によるダーウィン港の管理は国益に反する」と題した社説を掲載した。米ファンドがリース権を買い取るのが最善の策だと論じている。

 中国政府と関係が深いとされる嵐橋集団は2015年、北部準州政府との間で同港の99年間のリース契約を結んだ。しかし、ダーウィンは旧日本軍も連合国の兵站を経つため、第二次世界対戦中に空爆を繰り返した戦略上の要衝だ。リース契約の締結後、中国は海洋進出を加速させ、オーストラリアと同盟国・米国の陣営にとって脅威となっていた。

 同紙によると、米「サーベラス・キャピタル・マネジメント」が数日中に、嵐橋集団を所有する葉成氏に対し、同港の租借権を買収する提案を行うという。買収金額は嵐橋集団が北部準州政府に支払った5億600万豪ドルを上回る見通しだとしている。

 ただ、サーベラスは米トランプ政権と関係が深い一方で、葉成氏は中国共産党と近い人物とされることから、中国政府が強く反発する可能性が高いという。同港を訪れた中国の肖千・駐オーストラリア大使も先週、リース権買い戻しに反対していた。

 アンソニー・アルバニージー首相の与党労働党は3日投票の連邦選挙で、同港を「オーストラリアに取り戻す」ことを公約に掲げていた。最大野党の保守連合(自由党、国民党)も超党派で買い戻しを支持していた。

 アルバニージー首相は、国内のスーパーアニュエーション(確定拠出年金)基金が買い取るのが理想的だと指摘した上で、必要な場合は連邦政府が直接介入すると言明していた。オーストラリア企業ではないとはいえ、トランプ政権の息がかかった同盟国・米国のファンドの買収で落ち着くのか。あるいは国有化に発展するのか。地政学的な重要拠点をめぐり、各陣営の駆け引きが過熱している。

■ソース

Chinese control of Darwin port not in nation’s interest(The Australian)

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