マレー新環境相が大筋でゴーサイン

オーストラリアのマレー・ワット連邦環境・水資源相は28日、西オーストラリア州北部沖の天然ガス事業「ノース・ウェスト・シェルフ」の開発延長に大筋でゴーサインを出した。
同州カラサにある世界最大規模の天然ガス精製プラントの操業延長をめぐり、現行の期限である2030年以降も認める意向だ。開発会社の石油・天然ガス大手「ウッドサイド・エナジー」に対し、先住民の壁画の保護などの条件を求め上で、最終的に判断するとしている。
現地メディアによると、開発許可年数は40年間で、資源が枯渇しない限り2070年までの操業を認める。北部沖の天然ガスは、主に液化天然ガス(LNG)として日本などアジア諸国に輸出される。オーストラリアは世界でもトップクラスのLNG輸出国。資源エネルギー輸出のドル箱の1つとなっている。
ただ、プラントの排ガスが、先住民の壁画に打撃を与えることが懸念されていた。温室効果ガス排出削減の観点から、化石燃料開発の停止を掲げる環境保護勢力や、温暖化による海面上昇を危惧する南太平洋の島しょ国なども、認可延長に反対していた。
こうした反対論もあって、労働党左派内でアンソニー・アルバニージー首相とライバル関係にあるタニヤ・プリバーセック前環境相は、延長の判断を2度先送りしていた。先の連邦選挙で再選を果たした首相は、第2次アルバニージー内閣で環境相をワット氏に差し替え、開発延長をスピードアップした格好だ。
報道によると、今回の判断について財界や労組は歓迎しているが、先住民団体や環境保護派、島しょ国は反発を強めているという。
■ソース
Labor’s approval of Woodside’s North West Shelf gas extension to 2070 divides opinion(news.com.au)