来年初めまでに4回利下げか!? オーストラリア成長率、再びスローダウン

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3月期GDP、市場予想下振れ

 オーストラリアの経済成長が、予想を上回るペースでスローダウンしていることが明らかになった。オーストラリア統計局(ABS)が4日発表した国内総生産(GDP)統計によると、今年1-3月期の実質GDP成長率(季節調整済み)は前期比0.2%増と2024年10-12月期の0.6%から減速した。前年同期比では1.3%増と前期と変わらなかったが、長期トレンドの2.5%前後を下回る低成長が長期化している。

 いずれも市場予想を下回った。ロイター通信が事前にまとめたエコノミストの平均予測値は、前期比が0.4%増、前年同期比が1.5%増だった。

 ABSによると、サイクロンなどによる悪天候の影響で特に鉱業や観光、海運が打撃を受け、国内最終需要を押し下げた。政府部門の公共支出も大幅に減少した。今後、「トランプ関税」による景気押し下げ効果が顕在化した場合、政府が景気刺激策を検討する局面もありそうだ。

 GDPの約半分を占める家計支出(個人消費)は0.4%増と前期の0.7%から鈍化した。ABS国民経済計算部門の責任者を務めるキャサリン・キーナン氏は声明で「昨年12月期の年末商戦は力強かったが、その後、家計支出のほとんどの部門で成長が鈍化した」と指摘した。

7月利下げ確率86%

 人口が増加しているオーストラリアで景気判断の重要な指標となる「1人当たりGDP成長率」は0.1%減。前期は7四半期ぶりにプラス成長を記録したが、再びマイナスに転じた。

 3月期GDP成長率が予想より弱かったことから、中銀の豪準備銀(RBA)は7月の次回会合で、政策金利を0.25ポイント引き下げ、3.60%とするとの観測が強まっている。オーストラリア証券取引所(ASX)が公表している金利先物指標によると、7月の利下げ確率は4日時点で86%まで上昇した。

 7月に追加利下げを行えば、今回の緩和局面で3回目となる。RBAは景気減速とインフレ鈍化を背景に今年2月、4年3カ月ぶりに利下げに踏み切り、5月に追加利下げを行っていた。利下げ幅はいずれも通常の0.25ポイントだった。

 ロイター通信によると、RBAは来年初頭までに政策金利を2.85%まで引き下げるとの見方が市場のコンセンサスとなっている。予測通りなら、RBAは今後、0.25ポイントの利下げを4回実施することになる。

■ソース

Australian economy grew 0.2 per cent in March quarter(ABS)

Australia’s muted Q1 economic growth signals need for more stimulus(Reuters)

RBA Rate Tracker(ASX)

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