2.8兆円の超巨大M&A! 豪ガス・石油大手サントスに外資が買収提案

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アブダビ国営石油会社などの企業連合

 オーストラリアの天然ガス・石油大手サントス(本社南オーストラリア州アデレード)は16日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社の子会社XRGが主導する企業連合「XRGコンソーシアム」から、13日に買収提案を受けたと発表した。

 提案によると、XRGコンソーシアムが1株当たり5.76米ドル(8.89豪ドル)でサントス株を100%取得する。「スキーム・オブ・アレンジメント」と呼ばれる株式交換の手法を用いる。オーストラリア証券取引所(ASX)のサントス株価は、発表前の13日の終値で1株6.96豪ドルだった。これに28%のプレミアムが乗っている。

 サントス側は買収を受け入れる姿勢だ。同社は声明で「取締役会は、株主に対して、買収案に賛成票を投じることを全会一致で推奨する」と表明した。実現には、デュー・デリジェンス(買収監査)などの手続き、外国投資審査委員会(FIRB)や豪証券取引委員会(ASIC)をはじめとする関連各国の政府機関の承認が条件となる。

 公共放送ABC(電子版)によると、買収総額は約300億豪ドル(約2兆8,000億円)に達する見通しだ。

 発表を受けて、16日のASXでサントスの株価は1株当たり7.72豪ドルと前週13日の終値から9.84%急上昇した。

政府が拒否した前例も

 買収計画に対し、南オーストラリア州政府は介入も辞さない意向だ。ABCによると、同州のトム・カウツァントニス鉱業・エネルギー相は「(サントス買収が)南オーストラリア州民の利益に反する場合、州政府は法的枠組みに従って対抗する」と述べた。

 一方、ジム・チャーマーズ連邦財務相は「これほど巨額の取引は、数多くの過程を経て行われるものであり、私はFIRBの助言に耳を傾ける」と述べ、先走って賛否を表明せず、国益に沿うかどうかのFIRBの判断を待つ考えを示した。

 なお、2001年には当時のピーター・コステロ財務相が、石油メジャーのシェルによるオーストラリアの原油・ガス大手ウッドサイドに対する買収計画について、国益に反するとして承認を拒否した例がある。

サントスってどんな会社?

 サントスは、「サウス・オーストラリア・アンド・ノーザン・テリトリー・オイル・サーチ」(南オーストラリア・北部準州石油探査)の頭文字。友人2人が1949年に南オーストラリア州で油田を掘り当てたのが源流で、54年に法人化した。現在では、炭層ガス(CSG)や液化天然ガス(LNG)、原油などの国内プロジェクトに加え、パプアニューギニアや東南アジア、米国など海外でも事業を手広く展開している。

 2024年度(通年)決算は、売上高が54億米ドル、税引き後利益が12億米ドル。天然ガス・原油生産ではオーストラリアで2位の規模があり、資源エネルギー業界のトップランナーの一角を占めている。

■ソース

XRG CONSORTIUM’S NON-BINDING, INDICATIVE PROPOSAL TO ACQUIRE SANTOS(Santos)

Santos shares jump on $36 billion takeover bid, energy surge as markets brace for war — as it happened(ABC News)

2024 Full Year Results(Santos)

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