10%消費税、首相は引き上げに否定的

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8月の経済会議では是非を議論へ オーストラリア

(Photo: Fabian Blank on Unsplash)

 5日付の主要紙「オーストラリアン」週末版によると、アンソニー・アルバニージー首相は4日、消費税に相当する財・サービス税(GST)の税率(現行10%)を引き上げる考えはないと表明した。シドニーで開かれた経済シンポジウムで方針を明らかにした。

 同紙によると、首相はGST税率の引き上げは「逆進性(所得が低いほど負担が大きい)が高い」と指摘。首相が主張する累進的(所得が高いほど負担が大きい)な税制とは「相容れない」との見方を示した。

 GSTは、富裕層でも低所得者層でも同じ税率が適用される間接税。一般的に税率の引き上げは低所得者への打撃が大きいとされる。

 ただ、連邦政府が8月19〜21日にキャンベラで開催する会議「経済改革ラウンドテーブル」では、首相は「(議論自体を)否定も肯定もしない」、「だれもが主張したいことを主張する権利がある」と述べ、あらゆる選択肢を議論するべきだとの考えを示した。

 GSTをめぐっては、ジム・チャーマーズ連邦財務相は6月、税率引き上げには否定的としつつ、同会議での議論に道を開く意向を表明していた。

 GSTは2000年、当時の保守連合政権が、所得税減税と同時に新設した。基礎的な食品や教育、医療、輸出品への適用は除外している。連邦政府が徴収し、税収はすべて各州・準州政府に一定割合で振り分ける。地方政府の安定した税収を確保するとともに、徴税対象を所得から消費へ広げた。複数あった既存の間接税を廃止し、税制の簡素化も図った。税率は導入時の10%から25年間、変わっていない。

 オーストラリアは、今後も移民受け入れによって継続的な人口増加が見込まれている。しかし、他の主要先進国と同様、国内の出生率は低下している。このため、少子高齢化は回避できず、社会保障費の負担は増大していくと見られることから、安定的な税収の確保が課題となっている。

■ソース

“PM not for lifting over GST reform” The Weekend Australian

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