政策金利3.85%で据え置き

利下げを期待していたオーストラリア国民や事業者にとっては、残念なサプライズとなった。中央銀行の豪準備銀(RBA)は8日、政策金利を現行の3.85%で据え置くと発表した。金融市場やエコノミストの大半は利下げを織り込んでいた。
RBA理事会は7〜8日に開いた会合で金融政策について議論したが、金利据え置きについては賛否が分かれる異例の事態に。理事のうち6人が賛成、3人が反対した。
理事会は会合後に公表した声明で「インフレ(消費者物価指数=CPI)が持続的に2.5%前後で推移していることを理事会が確認するには、もう少し情報を待たなくてはいけない可能性がある」と据え置きの理由を説明した。
1-3月期のCPI上昇率は、前年同期比2.4%とRBAのインフレ目標(2〜3%)の中心付近まで落ち着いてきた。RBAがより重視するトリム平均値(極端な物価変動を除いた値)は2.9%だった。
だが、RBAは、インフレ沈静化の要因の一部に一時的な政府の物価高対策の効果もあると指摘。直近5月の月次CPIについて「4-6月期のインフレがほぼ想定通りに推移していることを示唆しているものの、わずかに予想より強かった」と述べた。インフレ再燃の火種が完全に消えていないとの認識だ。
利下げは、生活費高騰にあえぐ国民の財布を潤し、企業の設備投資も下支えして景気を浮揚させる効果がある。物価上昇が落ち着いてきたにもかかわらずRBAが利下げを見送ったことについて、ジム・チャーマーズ連邦財務相は8日、声明で「多くのオーストラリア国民と市場が期待していた結果とは違った」と落胆の色を隠さなかった。その上で財務相は、労働党政権のインフレ抑制と生活コスト高騰対策の実績をアピールした。
RBAは今年2月、約5年ぶりに利下げに踏み切り、政策金利を0.25ポイント引き下げて4.10%とした。5月にも追加利下げ(0.25ポイント)を行い、同金利を3.85%としていた。次回会合は8月11〜12日に開催する。
■ソース
Statement by the Monetary Policy Board: Monetary Policy Decision(RBA)