
2025年8月、カウラ・ブレイクアウトから81年を迎え、戦後の日豪和解の歴史が改めて注目されている。こうした節目の時期に、日豪和解活動を続けるマクラレン温子氏が9月13日、帝京科学大学の日英言語文化学会の研究会で「戦後の日豪の和解と友好関係」をテーマにオンライン講話を行った。
マクラレン氏は、1970年代に国際結婚でNSW州北東部バロナに移住し、サザンクロス大学リズモア・キャンパスで日本語を教える傍ら、交流の施設「グリン神父記念日豪センター」の設立に尽力した。日豪の和解と友好への貢献がたたえられ、2018年のオーストラリア・デーに勲章「メダル・オブ・オーダー・オブ・オーストラリア」(OAM)を受勲、同年10月には日本の外務大臣賞を受賞している。
講話では、リズモア出身の故トニー・グリン神父や、その弟ポール・グリン神父の功績に触れ、更にドキュメンタリー映画『愛の鉄道』を取り上げ、今日のオーストラリアがこれほど親日的な国となった背景には、こうした人びとの尽力があることを伝えた。
また、マクラレン氏自身が50年以上にわたりオーストラリアで生活してきた経験や大学生活、出会った人びととの交流を通じて感じたことを紹介。日本人やオーストラリア人に限らず、各国の「フェアデンカン(公正な考えを持つ人びと)」の行動や心に残るエピソードも交え、参加者に向けて和解と友好の重要性を語った。
更に、日豪交流において思い出深い人物の1人であった広島日豪協会会長・永野正雄氏が7月19日に逝去したことにも触れ、その功績を偲んた。

今回の講話は、戦後の日豪関係の歩みと、それを支えてきた人びとの努力を理解する貴重な機会となった。