学校を休みがち? 「ホーム・スクーリング」という選択について 〜パート1〜/オーストラリア教育あれこれ

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Q: 小学校3年生の子どもがいます。学校に行きたがらず休みがちで、頑張って毎朝送り出そうとするのですが、どんどん難しい状況になってきています。ママ友に相談したところ、「登校が難しい場合は自宅で親が教えることもできるらしい」ということを知りました。詳しく教えてください。

 この質問者の方と同じような悩みを抱えている親御さんは意外と多いのではないでしょうか。他にも、病気や家庭の事情などで学校に通うことができなかったり、長期間の休みが必要なお子さんもいるでしょう。そのような場合、主に保護者が家で勉強を教える「ホーム・スクーリング」というシステムを選択することができます。

 これは、子どもの義務教育を補うための制度で、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州の場合、同州内に居住し、NESA(NSW Education Standard Authority)に登録することが第1条件です。そして、子どもが5歳になる年から18歳になるまで、最長2年間登録することができます。日本ではまだシステムとして法律では定められていませんが、在籍中の学校に申請して認められれば出席扱いになるようです(各学校の裁量によるので、認められるかどうかは学校次第です)。

 オーストラリアではシステム化されており、教育庁(NSW Department of Education and training)のウェブサイトに手順や資料が載っています。

 まず登録からですが、その前に保護者は教育プログラムを準備する必要があります。プログラムは学習監督、記録、進捗などを記録するシステムがあるか、家庭環境や実施期間は適しているか、使用予定の資料は十分かなど、子どもの学習ニーズを満たしているかどうかを検討する必要があります。

 学習方法や教材は紙媒体でもデジタルでも良く、お子さんの学習ニーズが満たされているかどうかが、一番大事です。プログラムの内容、子どもの興味、NESAの学習指導要領(syllabuses)に基づいているか、時間や環境は適切かなどにポイントを置いて作成しましょう。もちろん保護者だけで作成するのが難しければ、担任の先生や校長先生、スクール・カウンセラーなどに相談しアドバイスをもらいながら作成してみましょう。

■ホーム・スクーリング申請について

Resources for home schooling applicants | NSW Government 

■ホーム・スクーリングを実施している保護者のプログラム・サンプル

Sample home schooling plans and resources | NSW Government 

このコラムの著者

内野 尚子

1996年来豪。デイケア、プリスクールにて教師、authorised supervisorとして12年間従事。平行して2004年、同志とNSW州補習校を立ち上げ、代表兼教師として8年間運営に携わる。07年、Universal KIDS設立し、18年間で2歳から18歳までの児童約1500人を教授する。24年12月を以て教室での対面レッスンを終了したが、25年以降はオンライン教育相談は継続中。コロナ禍においては、保護者のためのオンライン・スクールを開設し、子育てをサポート。
Web: https://www.facebook.com/universalkids.com.au





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