Post Office Lane, Brisbane CBD

ブリスベンCBDのど真ん中にあるポス・トオフィス・スクエア。
その名の通り、クイーン・ストリートを挟んで向かいのブリスベン中央郵便局(Brisbane General Post Office)の前に広がる憩いのエリアだ。昼食時には近くのオフィスからやって来た、思い思いにランチのひと時を過ごす人びとでにぎわう。
ブリスベン中央郵便局(GPO)は、1872年に建てられたコロニアル様式の趣のある建物だ。ここ数年で郵便局としての営業規模は縮小されたが、変わらずブリスベン最大の郵便局として営業し続けている。ただ、最近は建物に郵便局以外のテナントが多く入っていることもあり、オーストラリア・ポストの郵便事業の大幅縮小を象徴的に表しているようで時勢の移ろいを思わせる。
そんな由緒ある郵便局の建物の脇を抜けて、エリザベス・ストリートへとつながる小道がポスト・オフィス・レーン(Post Office Lane)。ここは、シティのど真ん中という絶好のロケーションにありながら、全く商売っ気がない。レンガ敷の通路をクイーン・ストリートの喧騒を背に靴音を響かせながら通り抜けると、ぱっと開けた視界の先には聖スティーブン大聖堂の荘厳な建物が見える。いつも開いている扉から時間によって礼拝のパイプオルガンの音が漏れて聞こえてくると、一瞬にして都会の喧騒を忘れさせてくれる。
そんなGPOに関して驚きのニュースが飛び込んできたのは10月初旬。オーストラリア・ポストがGPOの建物を売りに出すと地元紙が伝えた。もちろん、ヘリテージ・リストに登録されているので外見に手を加えられないが、ブリスベンの象徴的な建物の1つが誰の手に渡り、どのような使われ方をするのかは気になるところ。でも、ご心配なく、郵便局はオーナーが変わっても営業は続けるとのこと。
最後にちょっとしたトリビアを。ブリスベンとゴールドコーストを結ぶ大動脈パシフィック・ハイウェイ。その出口には、ブリスベンに近い順に若い番号が振られ、ブリスベンから離れるにつれ数字は大きくなる。勘の良い読者ならすぐに「ブリスベンからの距離でしょ」と分かるはず。では、ブリスベンのどこが基準かといえば、これが「GPO」らしい。まぁビールを飲みながら仲間内で蘊蓄を垂れてみてくださいな(笑)。

植松久隆(タカ植松)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人