DFO, Jindalee

クリスマスが近づいている。街も何だか浮ついてきた感じ。だったら、Chrissy(オージーはChristmasすら省略する)らしいネタでも転がっていないかと街を歩いてみたが、目に入るのは“いかにも”な光景ばかりで、天邪鬼(あまのじゃく)なのでどうにもシャッターを切る気になれなかった。
そんな折、仕事の合間にぽっかりと時間が空いた。それなら「せめてプレゼントでも買いに行くか」と向かったのが、センテナリー・ハイウェー沿いのジンダリー(Jindalee)にあるアウトレット。空港近くの系列店とは比べものにならない規模で、「この程度でアウトレットを名乗るか?」と突っ込みたくもなる。まぁ、最近は空き店舗も減り、有名店がそれなりにそろいつつある。そんな詳細はともかくとして、筆者には仕事先に近いというだけで十分、利用価値はあるのでたまにのぞく場所だ。
その日は、クリスマス直前だというのに拍子抜けするほど空いていた。車を停め、いつもの入口へ向かったその真正面に巨大なサンタがでんと鎮座していた。
「そういえば昨年もいたっけ」と思い出す。1年経っても同じ場所、同じ顔。近づいてのぞき込むと、普通のサンタとは違いなんだかひょうけた感じの締まりのない表情。どこかアジアのにおいすら漂う。やっつけ仕事で仕上げたような姿に場末感がにじみ出るが、それでも無駄にインパクトはある。だからこそ、昨年も、今年もシャッターを切っているのだ。
もういい。今さら「正統なクリスマスらしい」写真は特段必要ない。もう決めた、今回はこいつで行く。そう腹をくくって、この怪しげなサンタを採用したわけだが、こんなことをしているから「またネタ不足」と言われてしまう。でも、先に断っておく。ネタは他にも豊富にある。ただ今回は、このサンタを選んだ。ただ、それだけの話だ。
この変顔のサンタに会いたければ、DFOジンダリーまで行ってみるといい。わざわざ、それだけのために遠出するほどではないが、プレゼントの買い物ついでなら、ちょうどいいだろう。もっとも、この記事が載るころには、もうクリスマスは終わっているだろうけども。
では皆さん、良いお年を……って、え、まさか年も明けている!?

植松久隆(タカ植松)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人